満州国演義
直木賞作家の船戸与一は、71歳で亡くなった。
胸腺癌だった。
癌が見つかったときに、医者から、余命1年と言われたのだそうだ。
その宣告を受けて、船戸与一が何をやり始めたかというと、本当に書きたかった小説の執筆だった。
それが『満州国演義』である。
最終的に『満州国演義』は、四百字詰め原稿用紙で7500枚の大長編となったが、これだけの仕事を、闘病生活の中で成し遂げたのだ。
命を使い切った作者は、自身最後の作品を書き上げると、この世での仕事を終えたかのようにして、亡くなっていった。
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