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釈迦の説がたり 一日一話

     四月九日  裸の王様

 太陽は裸である。裸の王様である。裸の王様は、いつも変らぬ暖かい微笑みを生物に与えて下さる。そして何の請求もなさらぬ。何と有難いことではないか。

 人間が一生の間に受ける恩恵は数々あるが、太陽から受ける恩恵とは比較にならぬ。裸の王様は、自らは何も求めずひたすら与え続けられるのである。人間もときたま裸の王様になってみることである。

 もともと生れた時はハダカでした。それがいつの間にやらわけの分らぬものを身にまとって、自分の恰好さえ見分けがつかぬ程になっているのである。

 与えることは少なく、求める心のみ多い自分の姿を恥ずかしいと思わねばならぬ。


常岡智寶著 釈迦の説きがたり 一日一話より

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    釈迦からのメッセージ

 私は生存中に、さまざまな修行をして数多くの教えを残したが、今ここで云えることは、人間は幸せには中々ようならぬということである。

 生きている間も、死んでからも、求め続けるばかりで幸せとはどんなものであるかを分かろうとしないからである。人間にとって幸せとは夢かまぼろしのようなものである。

 この物語(釈迦の説きがたり一日一話)は、難しい経文や教えの分からない人でも、自分達の身近な事柄の中から心が開けて、一歩でも半歩でも極楽への道を歩んでもらいたいという私の願いからである。


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