世界基準とは何か?


僕はMr. CHEESECAKEを世界に届くブランドにしたいと思っています。この話をすると、真剣に受け止めてくれる方は少ないのですが、僕のバックボーンには世界1になったレストランがあるので、ごく自然に目指すべきステージは世界でした。

商品の品質として世界基準なのか?ブランドの認知度が世界基準なのか?売り上げが世界基準なのか?世界基準といっても様々な物差しがあります。その中で商品クオリティーは最初から世界基準を目指していました。それは僕自身が世界を見てきて、自分のスキルが世界に劣っていないという確信があるからです。

フランスに行った時点で技術的には劣るところはなく、むしろ日本の技術は世界をリードするくらいだと感じていました。しかし技術の使い方やブランドの作り方は圧倒的に世界に劣っています。それを実感したフランスでの修行でした。

日本に帰ってからシェフになり、様々な料理を作り、多くのゲストと話をしてt感じることもありました。日本のレストランは美味しくて技術も高いが世界に進出していくお店はほとんどない。これは価値観の問題なので世界に行く必要もないのですが、日本からはロブションもエルメもデュカスも生まれていないのです。それが僕は不思議でした。

明らかに料理のレベルは世界トップなのに、展開がなかったり、世界に名前が広まってはいない。これは国民性も勿論関係していると思いますが、それ以上に可能性を消してしまっている要因があるのかなと感じました。(ここでは触れません)


世界のレストランランキング


シェフになって一番早く世界に出るためには、世界のレストランランキングで上位に入る事が重要でした。そのために多くのシェフが切磋琢磨して、海外へのアプローチもしており、自分もそこを目指そうか?と思った時期もありました。

しかし僕はそうしませんでした。

どんな戦いをするにも一定のルールや条件があり、それを考慮した上で選択すべきだと思っており、それが僕には選ぶべきではないと感じたからです。世界のレストランランキングは投票権を持った審査員がいて、その人が勧めたくなる店はどれか?という投票をします。

これはどこの国でも同じだと思うのですが、一定国毎の思惑もあります。例えば世界のレストランランキングアジアでは、日本のレストランを上位にするために、一部のレストランに投票を集める事もあったと思います。(僕の憶測です)その場合、すでにランキング入りしているお店が優先度が高く、新規でランキング入りするのはかなりハードルが上がります。

このような背景を知っていたのと、僕が働いていたレストランでも投票権を持った人をわざわざ呼んで手厚いサービスをしていた事もあり、いわゆるロビー活動が必要なのは知っていたので、僕の性格的には無理だとやめました。

特定の第三者が決める評価軸だとこのような事が起こり得る。そう考えた時に目指すべきは顧客からの評価であり、それによって世界からも求められる商品を作る事が一番いいと思ったのです。(ただ当時からそれが絶対できるビジョンはなかったし、そうなれればいいなくらいの気持ちでした。)


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