見出し画像

市場規模を知るだけで視野が広がる。

僕は小さな頃から数字が好きで、方程式に当てはめれば答えが出ること、その答えが明確なことがとても好きでした。

国語の授業はその分苦手で、作者の感情を述べよ〜的な問題はとても曖昧で様々な角度から判断できるのに答えは1つという矛盾?が嫌いでした。w

他には自分がやっていることが何に繋がるのか?全体からすると自分の仕事量はどの程度なのか?という全体感を知ることが好きで(知らないと気持ち悪い)質問もするし、自分なりに考えて仮説検証する癖がついていました。

野球でも、人それぞれ体格も感覚を違うのに、なんでみんな同じ指導なんだろう?とか、トレーニングもポジションごとや打順ごとに違うよな?とか考えていたので、とても反抗的な部分があったと思います。

それが料理でも、その他の仕事でも当たり前で、自分なりのルールというか解が見えてないと嫌なタイプ。その辺を気にしない人からすると鬱陶しいタイプだと思います。

料理人になって暫くはあくまでも料理を学ぶという範囲で数字のことを見ていました。原価計算や売上に対する人件費や固定費の算出、レストランというものを開く上で必要な知識を集めていた感じです。

しかしそれがシェフになり、自分の今後の人生や未来を考えたり、数多くの経営者の方と話をする中でもっと大きな視野で世の中を見るようになりました。(お客様に経営者の方が多かった)


自分たちの業界の規模ってどれくらいなの?


これは意識しないと全く知らない世界だと思います。普通の人は業界の市場規模なんて意識しないと思うので。しかしそれを知る事で、自分たちの技術の可能性や、将来性を意識できるようになると思います。

僕自身、レストランしか見ていなかったので、あそこは旨い、あそこは魅せ方が上手、あそこはサービスがいい、くらいの解像度でしか見ておらず、飲食業界の市場規模なんて興味がない(意識がない)状態でした。

おいしさが正義、ミシュランの星が正義、その為に全ての時間を注ぐ。それくらいのイメージです。もちろんそれが良い悪いではなく、とても小さな範囲でしか物事を見れていなかったなという僕自身の気付き。

僕がここに意識が向いたのも、レストランに食べに来る多くの経営者の方たちとお話をする機会に恵まれて、自分の考えているレストラン経営のスタイルを相談したりしていたからです。

その中で同世代のスタートアップ経営者の話を聞いて、そもそも原材料費のかからない仕事があるのか、、、!と衝撃を受けたりもしました。(飲食は30%以上普通にかかるので)そこで初めてITビジネスの凄さを感じたり、同世代なのに圧倒的に自分よりも成果を出している(金銭的にも会社の規模的にも)姿に純粋に嫉妬しました。

僕は20代は毎日18時間近く仕事をしていました。これは飲食店というビジネスモデル上仕方ない(と当時は思っていた)のですが、その中でも働かされるのではなく、自分で考えて18時間みっちり頭を使って仕事をしていた自負がありました。

しかし、ビジネス的にもジャンル的にも違うとはいえ、同じ時間を過ごしているはずの同世代の成果と自分の成果を見比べた時のショックは一定ありました。だからこそ、自分の掛けてきた時間の分だけ成果を出さなければと思うようになったのです。

仕事が好きで、成果にコミットしてきたけれど、もっと上の世界があることを知り、自分のスキルで今までの自分が知っている世界以上の成果を出すにはどうしたら良いのか?を考えるようになりました。

それから僕は自分の携わっている料理に紐ずくことの領域の市場規模を調べるようになりました。そうすることで自分の視座も上がったと思います。


市場規模はあくまでも目安


とはいえ自分の出来ることと市場規模のサイズはイコールではありません。がむしゃらに規模(数字)だけを追い求めても成果は出ないし、数字のために仕事をするのではなく、自分がやるべき仕事をした上で、どのような成果が出せるのか?から考えるようになりました。

僕は昔から無駄が嫌いだったり、成果の出ない努力が嫌いでした。努力をするなら自分が納得できる領域で納得できる成果を出す。そのために必要なものは何か?を考え続けています。

レストランだけではビジネス的に厳しいかもしれない。新卒で入ったレストランからフランスに行った後も常々考えていました。僕が師事したシェフたちもレストランだけではなく様々なビジネスをしており、無意識に自分でもレストラン以外の戦い方を模索していたのでしょう。

だからこそ、僕は帰国してすぐにノンアルコールのブランドを立ち上げたり、アイスや干物のブランドを立ち上げていました。そんな中で、自分が知っている昔からあるブランドはどれくらいの規模があるのだろうか?と調べ始め、僕は衝撃を受けました。

鎌倉の鳩サブレ、福岡の博多通りもん、北海道の白い恋人。どれも昔からあるお菓子で、特に意識をしたこともありませんでした。普通に美味しい。それ以上の感想はほとんどなかった。

しかし調べてみると、それぞれがレストランとは比較にならないくらい大きなサイズで事業をしています。料理をしていると、ある程度のおいしさなら自分で作れるようになります。鳩サブレよりおいしいものが作れると思うし、白い恋人よりもおいしいデザートが作れます。しかし、同じだけの規模が自分に作れるのか?と純粋に思いました。

おいしさだけなら勝てるかもしれないが、トータルでは全く歯が立たない。自分だけの物差しで仕事をしていてはだめだ、本当に小さな村で偉くなった気で終わってしまう。そう感じるようになりました。

それからは各ブランドの歴史を紐解き、どのように成長してきたのか?どのように世の中に広がって行ったのか?何がきっかけで認知度が上がったのか?リサーチを始めました。

勿論時代背景や、タイミングなど、様々な要素はありつつも、きっと今に時代でも参考になることは多いし、逆に今の時代だから出来ることもあるだろうと。おいしさだけではなく、伝えることも届けることも努力しなければならない。それを実感した出来事でした。


自分に役目はおいしさを創ることと熱量を伝播すること。


様々なことを知ったとしても、僕自身に出来ることはおいしさを創ることと、その熱量を伝播させること、それしかできません。

どんなに食の世界に可能性があれど、その可能性を信じる人が増えなければ事業は大きくならない。自分がただ1つ持っているおいしさという武器で、どれだけの人を魅了できるか、どれだけの人が仲間になってくれるかが大切で、自分1人では大きな挑戦はできません。

だからこそ僕は自分の想いを正しく言葉にして伝える努力をしています。過不足なく伝えることで、自分自身を知ってもらう。僕の本気を伝えていく。おいしさの可能性を拡げていく。

自分が大好きな世界だからこそ、食の世界をもっとクリエイティブでチャレンジの出来る世界だと伝えていきたい。次の世代の料理人やパティシエたちが、自分たちも成果が出せるはず!と思えるような、そんな成長をしていきたい。

料理の力はすごいです。物凄く可能性もある。でもそれは料理人だけの力だけでは足りないと思います。もっと社会と繋がって、違う領域の人と繋がって、この世界の可能性を提示する必要がある。そうすることでもっと大きな挑戦が出来るようになるはずです。

僕たちは更なる成長のために様々なジャンルのスタッフを募集しています。

記憶に残る日常を、新しい食の体験で。

そんな思いで日々働いています。ぜひ一緒に食の可能性を拡げていきましょう!ぜひこちらから!

ここから先は

0字
新しい料理人の働き方から、個人でどう生きていくか、どう価値を生みだしていくかを色々な視点で書き綴ります。月3~4回ほどの更新なので、定期購読がお勧めです。

曜日や時間、場所に捕らわれずに料理を自由に表現するためにレストランを辞めた料理人の働き方を変えていく奮闘記。 これから増えていくだろう料理…

皆様の優しさに救われてます泣