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『ジョー・アデル ポッドキャスト(トレントラッシュロングインタビュー)』2024/5/29 Under the Halo


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https://podcasts.apple.com/jp/podcast/under-the-halo-podcast/id1417561991?i=1000657094846

1.失敗を乗り越えて上達したアデルの守備

 俺がメジャーリーグで一番苦労したのは守備。成長を実感した今、何よりも興奮しているのは、守備というものを理解するまでにどれだけの時間がかかって、どれだけ苦労があったかを実感しているから。

<アデルのホームランキャッチ>

TR(トレントラッシュさん):守備でチームに良い影響を与えているね。

 ポーターとエリックヤングシニアからは、ボールを積極的に追う事のメリットについて教わっている。
 数年前までは、ボールを捕球する際に後ろから走っていたのが、今はチャージして捕れるようになった。これが大きいよ。
 それによって早く返球ができるようになり、レンジャーズとの延長戦の様な送球(サヨナラを防ぐホームへの好返球)に繋がった。

<アデルの鬼返球>

 こういうプレイか出来た日は一日楽しいよね。過去の自分を知っているから、今こういう動きが出来るようになったのは、本当に面白いんだ。

2.Ronから教わっている事

 スプリングトレーニングからずっと言われている事がある。日々の練習とルーティンを大切にしていれば、試合は全て上手くいく。試合が始まった段階で、役割は果たしているんだと。
 だからルーティンを凄く大切にしている。そう考えていくと、練習は試合であって試合は練習の一部と理解できる。
 俺が苦労した事の一つとして、試合への入り方だった。
 これは、ポーター(※元外野手)から教わった、快適にプレイするルーティンなんだけど、まずフィールドに着いたら外野フェンスの所に行き、周囲の状況を見て、試合が始まった後の事をシミュレーションするようにした。
 これによって、快適にプレイできるようになって、練習の成果を発揮できるようになったんだ。

3.ケンタッキー州ルイビル出身でレッズファン

 実家から車で45分くらいの所にシンシナティの球場がある。
 俺はジョーイボットの大ファンだったんだ。ケンタッキー州に帰ると、かつてのチームメイトや対戦した仲間と会える。
 5月に、選手として初めてグレートアメリカンボールパーク(レッズ本拠地)に行った時、子供の頃の思いに浸る事が出来た。試合を観にきていた日々を思い出した。
 レッズ戦で打てたのは数打席だけだったけど、家族が見ているなかで、本当に本当に本当に、クールで素晴らしい体験だったよ。
※3打数2安打1打点1盗塁!張り切っていたみたいだし、もっと出番があっても良かった!

4.父がアメフトの選手だったのに、なぜ野球だったのか

 アメフトもやっていたけどね。他にやってきたのは、バスケ、体操、水泳、サッカー…サッカーは走るのが激しくて、てんかんだったのもあって少し苦手だったけど。
 そう。子供の頃に、14回てんかんの発作を経験していたんだけど、それが野球を選ぶキッカケになったんだ。
 俺の父は、スポーツをするのが大好きで、高校ではアメフトと野球を経験していた。父は私に、野球をやってみないかって勧めてくれて、俺はどんどんのめり込んだよ。
 楽しかったから続けたのもあるんだけど、一番の理由は、医学的な懸念からだったんだ。時々、アメフトをプレイしていたらどうなっていただろうとは考えるけどね。
 でもね、笑うんだ。
 父は大柄な人間なんだ。マジでデカい。そんな父と鏡に立って、俺達は笑うんだ。うん、明らかに正しい選択をしたねって。

5.てんかんについて

 俺の場合は明るすぎる場所にいると発作が起きてしまったんだ。学校の休み時間に、ふと屋外で上を見上げると、気付けば救急車の中や、病院のベットの上。
 家族にとっても恐い思いをさせてしまったと思う。
 俺の母は教師をしていたんだけど、彼女にどれだけの負担をかけてしまったか、想像もつかない。
 幸いにも、中学校くらいには治る事ができたんだけど、発作が起きる恐い瞬間の事や、目が覚めた瞬間がまるで即席の昼寝だったような感覚を今でも覚えているよ。
 今こうして、完全に健康でここにいる事が出来るのは、本当に幸運な事。

6.母親は高校の校長を務めていた。あなたが高校の頃から?

 高校の時は違うかな。だけど中学生の時、ほんの少しの期間、彼女は俺が通っていた中学の教師をしていたよ。
 色々な土地の学校で勉強を教えていたんだ。
 父がUPS航空(貨物運送会社)に務めているから、ルイビル、バージニア、ノースカロライナと度々引っ越していた関係で。
 本当にあちこちに行って教師をしていた。うーん、彼女は戦士だよ。

7.母親が与えた影響

 母から教わった最も大切な事は、コミットメント(責任を持つ事、約束をする事)。他でもない彼女自身がコミットメントしている。
 生涯を通して、子供達に尽くして、子供達がより良い経験をする様に努めて、子供達の為に新しい扉を開こうと努めている。
 実のところ母は、もっと高額のオファーがたくさんあった。裕福な高校の校長のオファーとかね。
 それでも、子供達を助け、彼らが必要な場所に連れて行こうと為に、低所得層の学校で働く事を選んだ。
 俺の基礎や背後にある考え方、足跡について話す時、まずは彼女にとって何が必要だったかについて話すんだ。
 俺は、彼女が身寄りが無い子供達に教える姿を見てきた。そんな彼女の人生を見て、仕事を見てきた事は本当に大きいんだ。

8.父親が与えた影響

 一方で父についてなんだけど、一言でいうとタフな愛だね(笑)
 俺が野球を始めた時、たくさんの人が、俺が必死にスイングするのを不思議がったけど、それは父の教えの影響なんだ。
 父はよく、バッティングケージでの練習に付き合ってくれた。8歳の頃からかな。
 彼は4、5メートル位離れた所から全力でボールを投げてきてね、時々失投して体にぶつけてくる訳。
 年齢なんて関係なく、彼は本気で俺を打ち負かそうとしてくる。
 8歳と大人の真剣対決って…、1対1で彼と戦うのは大変だったよ。
 だから彼からは、努力する事と、逆境に立ち向かう事、競争する事、高いレベルで仕事を学ぶ方法を教えてもらったんだ。
 今だって、父に立ち向かったゲージと変わらない。
 俺が人生において、二人から学ぶ事が出来たのは本当に幸せな事。今俺がここに座って、あなたの前でこういった話が出来ているのは、彼らのおかげだよ。

9.先日の小学校訪問について

TR:先日の小学校訪問では、尊敬するエンゼルスの選手と触れ合えて、子供達はどんなに興奮しただろうね。

 マジで大好きだよ。本当に。
 未来多い子供達と触れ合う事が出来て本当に嬉しかった。
 彼らが素晴らしい大人になるのは間違いないし、そんな子達と関われて最高だった。サッカーファンがたくさんいたから、俺はもう少しサッカーを練習しなければならないね(笑)
 繰り返しになるけど、本当に素晴らしかった。大きな経験になったし、自分を元気付けるものになった。彼らも喜んでくれているなら嬉しいね。

10.若い頃、アデルはピッチャーだった

 正しいタイミングで転向が出来たと思う。15、16歳の、ルイビルにいた頃かな。元々は先発だったんだ。
 その夏、クラブチームで各地を転々としていたんだけど、その過程で対戦していたオハイオ州のチームからスカウトされたんだ。ただし、バッティングは不要で、ピッチャーに専念してという条件だった。
 バッティングの調子が落ちてきていた時期で当然だったのかもしれないけど、それでも打つのが大好きだった。
 俺は真剣に悩み考えた。
 そして、逆にバッティングを磨こうと決断した。
 高校の打撃とプロの打撃で何が違うのかを考え、学び続け、ワンランク上のバッティングを身につける事が出来たんだ。そして、バッターとして全体10位(1巡目)でドラフト指名してもらえた。

11.ドラフト上位指名の選手として、未来の選手にアドバイス

 シーズンオフにジャクソンホリディと話す機会があったんだ。色々話す中で、一つだけ彼らに言わなかった事がある。
 それは、君はこのままでいるだけで、そのうちにコツを掴めるよという事。
 それは俺自身が早くから知りたかった事でもあるんだけど、言わなかった。この先、色々なピッチングと対峙して苦労していく。それは、ある種の学習プロセスなんだろうと。
 なぜマイナーリーグシステムがあるのか理解しなければならない。ある程度の才能か無ければ理解ができないスポーツだ。
 上に上がる前に、様々なレベルのピッチングを見なければならない。
 これはあくまでも俺の考えなんだけど、苦労は早いうちにした方が良い。そして謙虚に現実を見つめるんだ。その経験が大事なんだと思う。失敗は浮上の糧になる。

12.エンゼルスの若手について

 このレベルにこれ程早く到達できるのはどれだけ凄い事か。
 ノーラン、彼はスプリングトレーニングに行った事が無いのに、昨年後半試合に出ていたんだ(笑)
 当たり前の様に出ているけど、俺は本当に彼らを称賛したい。
 ノーラン、オホッピー、ネトらを見るのは、本当にクール。
 多くの場合、若くしてメジャーリーグに上がったら、自分では無い何者かになろうとするんだけど、彼らは有りのままの自分を保ち、まだ完璧ではないものの、それを成功させる方法を見つけている。
 俺達はクローンを作ろうとしているのではない。ロボットを作ろうとしているわけでもない。俺は、彼らが彼らしくある事を願っているよ。

13.Ronが組織にもたらしたもの。チームが変わった事

 仲間意識が高まるのを目の当たりにするのは、とてもエキサイティングだよね。俺達は過去にその点で苦労した事がある。
 クラブハウスで冗談を言い合ったり、グラウンドでリラックスしてプレイできる事は、選手にとって大きな事だ。
 だから俺も、親しみやすく、誰もが周りにいて心地よいと感じる様なクラブハウスを維持できるように、ベストを尽くしてきたんだ。
 Ronは、物事が上手くいっていると決めつけずに、必ず自分の目で確認しようとする男なんだ。ここにきて練習をすれば、誰もが必要な仕事をこなして、お互いに信頼しあえるようになると思うよ。

TR:ジョー、とても素晴らしい話をありがとう。今から20年後、あなたはメジャーリーグで25年のキャリアを積んでいる事でしょう。その事を心に留めて欲しい。

 本当に楽しかったよ、ありがとう。

がんばれ!アデル!!

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