【第二期 欲求を開発しよう!】Part 4.6 過去の欲について(大学院生編)

2020.04.05

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【第二期 欲求を開発しよう!】
Part 4.5 過去の欲について(大学生編・後編)

4-6. 大学院生編(前編)

・本職

僕がいたところは、学内の時空のひずみのような場所で、
なんというか…ゆるかった。

細かく書くことは避けるが、「なんとなく」で通用してしまう場所だった。

仕事のレベルはまったくもって低いのだが、それでもいいよ、楽しくよろうよ、みたいなかんじ。
まぁ、そうゆう環境だからこそ、僕みたいな人間でも生存できたわけだが。

・ラジオ

この時期に、重要な出会いをした。

ラジオだ。

きっかけは、研究室の人が聞いていたとか、特にやることがなかったとか、ぼやけたかんじだが。
僕は、「あ、面白い…」と率直に思った。

このころは、ネット経由でラジオを聞ける「radiko」というものが誕生して2~3年の頃だった。
今まではラジオとは全く無縁な人生を送っていたのだが、顕微鏡とか生き物に向き合う作業が増える中で、「なにかこの時間にできるものはないか?」と感じていた。
そこにラジオがぴったりはまった。

僕は小学生の頃から、テレビを見ながらこたつで宿題をする生粋のテレビっ子だったので、すごく肌に馴染んだ。
愛着障害の弊害ともいえる、「無意識的に、常に寂しい」感覚。
これを埋め合わせるのにも、テレビは良かった。
見るだけだし。こちらから何かを提供する必要がないし。

テレビは視覚と聴覚の両方が必要だから、ながら作業には適さない。
ラジオは聴覚だけでさまざまな世界に触れられるから、ほんとによかった。

最初ハマったのは、「JUNKサタデー エレ片のコント太郎」
エレキコミックの2人と片桐仁の3人のラジオで、中学生みたいなノリがすごく面白かった。
あと、「ジェーン・スー 相談は踊る」
現在やっている「生活は踊る」の前身番組で、いろんな人の相談にひたすら答えていく。
その答えが、ときに親身で、ときに爽快なくらいばっさり切り捨てるかんじで、心地よいのだ。
あとは、「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」
この映画評コーナーを聞くのが楽しかった。(映画は見に行かない)

TBSラジオにはまったので、この辺から派生していろいろ聞き始めた。
・荻上チキSession22
・JUNK(月~土全部)
・星野源のANN(他局だが)

・本を読むこと

僕は本を読む習慣がなかった。

だけど、研究室の人からいらない本をもらったり、ラジオで紹介されてた本をきっかけにして、「漫画以外の本を読む」機会が少しずつ増えていった。

こうゆうときにしっくり来るのは、やはり歴史系の本だ。
(お前、理系じゃないのか?と自分でも思うけど、仕方ない)

本を読む機会が増えていくと、自然と本屋に足を運ぶようになる。

そこで「あ、この本なんだろう?」と思った本を手に取り、ジャケ買いする。

しかし、本を買っただけで満足してしまうのか、その本は積読コーナーに積み上げられてしまう。

よくない習慣ではあるが、なんとなく本が好きになっていった。


・就活

自分の人生について決断することをどれだけ先延ばしにしても、いつか必ず決断しなければならないときが来る。

僕にとってそれは、大学院(修士)のときの就活だった。

「進路」というものを、ほんとにいままで全く考えて生きてこなかった。

しかし、周りの空気を見てだんだん焦っていく。


就活塾にも通った。
なんか変な塾だったけど、「考え方そのもの」を得られて面白かった。
でも、ESを書くのが辛かった。
書き方はわかる。教われば。
ただ、肝心の「書きたいこと」が全くない。

僕はお酒が好きだから、その業界に入ってみたいなぁと思っていた。
志望動機とか、自己PRとか、それっぽいものは書ける。
でも、なんかふわっとしている。

今現在の視点でみれば、何が問題だったかとてもわかる。
僕にとっては、お酒系の会社に「入ること」が目標だったのだ。
その会社に入って、なんとなくお酒を作る。
その会社の社員であるという肩書を得る。
「〇〇で働いている酵母マン」
これがほしかっただけだ。

自分自身の将来に対するビジョンがないから、
「入ったあと何をしたいか?」
がわからない。
過去についても、自分の意志で動いていないから、
「なぜ入りたいのか?」
を説明することもできない。

結局全部落ちた。

僕にとっては、人生最大級の挫折だった。
悲しくて、悔しくて、人の前で初めて泣いた。


・そして博士へ

僕は行き先を失った。

いままで敷かれ続けていたレールが、途切れようとしていた。


そこに、天使の誘いか、悪魔の囁きか、ある提案が降ってくる。

博士課程への進学。

要因はいろいろあった。
担当の先生と、研究面での共依存関係。
(仕事をすることが僕にとっての存在意義・価値であり、その成果が先生にも必要だった)
肥大してしまった自意識・ハリボテのプライド。
(選択肢は本当はたくさんあるのに、視野が狭くなってしまっていた。)
「博士」という肩書への、なんとなくの憧れ。
(ここも、就活と同じで、「肩書」を得ることが目標になってしまっている)

僕は博士課程に進学することにした。


この時期がちょうど、「愛着障害・AC克服記録」に書いたように、初めてメンタルクリニックに通い始めた頃だ。


この頃から僕は執着の鬼になった。
とにかく他人を認めさせる。
「承認欲求」がすべての原動力になった。
認めさせるために、専門分野の勉強をする。
認めさせるために、プレゼンの仕方も勉強する。
認めさせるために、理詰めで考える癖をつける。

研究室の人とか後輩には、たまに「怖い」と言われるようになった。

そうやってのめり込まないと、色々と太刀打ちできないと感じていた。

そして、人を認めされる要素をすべて手に入れることができれば、
自分を見捨てた会社を見返すことができるんじゃないか?

その一心で、その後3年間を過ごすことになる。


・愛着障害克服を経て~欲求問題に突入

そこからの流れは、愛着障害克服記録にまとめたかんじ。

なんでわざわざ遠回りをしたかというと。

ここからは「欲求」をどう捉えるか?
が問題になるから。

次回からは、話を現在に戻して進めることにする。


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