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OP・ED映像で振り返る2021年アニメ10選

テレビアニメのOPには「世界への入り口」という意味合いがある。EDは来週への期待を抱かせるように作られる。
OPは本編へ視聴者をいざなうために華やかでカッコ良い映像になる傾向があるが、同時に「どういうジャンルの作品なのか」を理解させる仕掛けが施される。
EDはたとえて言うと「パッケージされた商品に付けられるリボン」のような存在で、物事の終わりと次への期待感を持たせるように作ってある。

2021年アニメも豪華なラインナップだった。OP・ED映像で振り返ってみようと思う。

1.約束のネバーランド2期(2021年1月8日~3月26日)
絶望的な収容施設から逃亡する子供たちを描いたアニメ。OPが内容の要約になっているという典型的なパターンで、「色彩あふれる花々→映像が暗くなって内容を暗示→対決→希望に向かって歩みだす→主人公の決意を秘めた表情」という流れを一気に見せる。
膨大な情報を整理しつつ、美しくまとめた映像は傑作と言っていいと思う。

2.美少年探偵団(2021年4月11日~6月27日)
OP職人として名高い梅津泰臣監督の手による映像。鮮やかな色彩が惚れ惚れするほど美しい。死ぬほど手間がかかってると思う。「5人の人物→ドアを開ける→星がきらめく」というのが内容の比喩になっている。5人のカッコいい男の子に1人の女性キャラがかかわっていく話であることがOP映像で巧みに示されている。ガラスと水が頻繁に出てくるところも「不思議なものに惹かれていく魂」の表現になっていて好き。

3.Vivy -Fluorite Eye's Song-(2021年4月3日~6月26日)
開始3秒が勝負のOP。これでドキモを抜かれた人は多いと思う。「アンドロイドの女性が歌を歌うアニメです」という宣言になっている。「タイトル→アンドロイド目覚める→観覧車→ステージ→煙をあげるビル群」で作品世界を簡潔に表現している。25秒くらいで主人公のアンドロイドが熊のぬいぐるみを追いかけるシーンが何気に手間がかかってそうで好き。「全身を使って派手な動きをするシーン」がOPにあるアニメ。「これは本編も期待できるぞ」と胸が高鳴る。

4.SSSS.DYNAZENON(2021年4月2日~6月18日)
いや、これはなんというか笑ってしまった。「俺たちはこういうのがやりたいんだ」という叫びになっている。「うん、そうか。それなら思い切ってやってくれよ」と答えたくなる。「今どきロボットアニメにこんなに全力出すなよ」とかも言いたい。しょうがない。でも好きなもんは仕方ない。グリッドマンから引き続きのロボットアニメ。「やりたいようにやれよ。付き合うよ」という気持ちにさせるOP。そういや、グリッドマンもダイナゼノンも女性キャラが異常に可愛いのはなぜなんだ。

5.小林さんちのメイドラゴンS(2021年4月7日~6月30日)
あらゆる意味で他の制作会社とは別次元に到達した京都アニメーションの2021年作品。いったいこの会社は次に何をやるのか。このOPは「あらゆるモーションがテンポに合っている」というところが素晴らしい。めまいを覚えるような映像である。特筆すべきは22秒あたりから始まるダンスシーン。人物がカメラに向かって歩きながら踊る。これねー、すごいんですよ。通常のアニメはまだ「固定カメラの前で踊る」くらいしかできない。踊りながら前に向かってくる映像はおそらくこれしかないと思う。

6.ラブライブ!スーパースター!!(2021年7月11日~10月17日)
ラブライブの歌唱シーンは「今の日本アニメがダンスシーンをどの程度のレベルで作れるか」という指標にもなっていると思う。ラブライブとプリキュアのEDね。この2つはそれだけでも見る価値がある。ラブライブは2D作画とCGの合成でダンスシーンを作るんだけど、2D作画の部分に良い絵が多い。素晴らしいシーンをひとつ。1分12秒。歌詞が「本当の願い」のところで嵐千砂都(お団子ツインテールの子)が胸をこぶしで2回叩いてウインクするところ。なんとも可愛らしくて好きだ。いい絵だなぁとつくづく思う。

7.先輩がうざい後輩の話(2021年10月10日~12月26日)
描線の少ない日常系・コメディ系のアニメを作らせたら日本一の会社が動画工房である。今のアニメは線の数が多すぎて見てて疲れることがあるが、動画工房作品はそういうことがないので安心できる。1分16秒くらいで「カメラがキャラの斜め上にあるカット」はなぜか動画工房のOPに良くある構図。「動画工房アングル」とでも呼びたいところだ。

先輩がうざい後輩の話 動画工房アングル

これ(↑)。必ずあるんだよ。

8.古見さんはコミュ障です。(2021年10月7日~12月23日)
2021年OP映像の最高傑作はこれ。冒頭の飛び散る破片と空から落ちてくる主人公。暗い画面と明るい画面で「心の内と外」を表現し、「花が増えるごとに友達が増える」と描写。時間が経過して主人公が「自分から飛び込もう」と決意して走り出す。走っている全身の動きが細やかに描かれていて感動的。友達の仲間入りしたところを見つめる猫は視聴者の比喩か。アニメも内容・表現ともに良く出来ていて、毎週楽しみだった。

9.86ーエイティシックスー2期(2021年10月3日~)
多彩な映像処理によって戦争が人の精神にダメージを与えるという内容を表現している。34秒から「ロボットに乗って手をふる少女→兵器の格納庫→戦闘員たちの後ろ姿→青い光を浴びる男性→倒れた人の首を締める謎めいた人物→目玉→曲に合わせて歌うロングヘアの女性」という流れが見事。

10.無職転生 ~異世界行ったら本気だす~2期(2021年10月4日~12月20日)
戦いと冒険を描く壮大なストーリーのEDとして理想的な映像。楽曲とのマッチングも良く、「来週も楽しみだ」という気持ちにさせられる。冒頭の丸い格子の外側がセピア色で、「もう失われたものたち」を表現している。それに手が届かない主人公の寂しそうな表情。主人公の冒険の仲間たちが手招きして迎えてくれる。やれやれと腰を上げて窓を開けると、そこには賑やかな日常が待っている。

2021年アニメの振り返りもこんなところにしておこう。
ここまで読んでくれてありがとう。

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