今日一日を前向きに諦めよう ~SEKAI NO OWARI『バードマン』~ #2021年おすすめ曲
人間は矛盾した存在だ。
死にたいほど悲しいのに、同時にそんな自分を笑っているもうひとりの自分がいる。爆笑しているのに虚しい。友人を大切にすると同時に裏切る。
こんな矛盾した人間たちが作り出す「社会」や「世の中」が矛盾してないわけがない。もっと巨大でどうにもならない矛盾に満ちあふれている。
「どうにもならないこと」でいっぱいだ、この世界は。
どうにもならないから放っておきたいのに、たまに自分の身にもふりかかってくる。
どうやっても解決しないのだから何もできない。じっと過ぎ去るのを待つしかない。
そういうとき感じる気持ちを一言で表せば「絶望」だろう。
世の中は絶望のタネでいっぱいだ。だからといって、誰とも何にも関わりを持たなければ、それも絶望だ。人と関わっても絶望するし、一人ぼっちで生きていても絶望する。
さらに嫌な話。
こういう絶望感は若者特有のものと思っている人も多いかもしれない。
「大人になったらこんな気持ち忘れてしまうんだろうな」とか。
違うんだよな。
年齢を重ねても一向に絶望からは逃げられない。自分がその生きた証拠だ。
もう笑うしかないよ。そうでしょ?
明るく絶望していく。それしか生きようがないんだから。
眩しい「今日」は毎日容赦なく始まる
2021年、SEKAI NO OWARIが発表した楽曲に『アーリーバード』という曲がある。
ここに描かれているのは、明るく絶望して生きることや、前向きに諦めながら今日という一日を過ごそうという矛盾した内容のメッセージだ。
この曲が心に響いた。自分の思いを曲にして発表してくれたように思ったからだ。こんな楽曲に出会えることは少ない。
サビの歌詞にこんなのがある。
「容赦もなく始まった今日は
こんなに眩しいんだ」
意味もなく深夜の時間を過ごして「あー、もう朝になっちゃったなぁ」って思いながら外の風景を見たときの気持ち。決して早起きして爽やかになっているわけではない。
くすぶったまま「頑張れないなぁ」とか思いながら毎日を過ごしている。
もう人生は手遅れで、今後も「どうにもならない」に決まっている。ロックでも聴いてぼさっと過ごしていこう。
それもひとつの生き方だ。
おそらく。たぶん。
そんな気持ちに『アーリーバード』はぴったりとハマってくれたのだ。
この記事は多くの人には読まれない。絶望的だ。笑うしかない。
しかし、この曲が確かに自分の心に届いたという事実だけは記録しておきたかった。
SEKAI NO OWARIにはありがとうと言いたい。
最後まで読んでくれた人もありがとう。
来年もどうしようもない人生を過ごします。
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