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火災報知器が鳴った時の対処法

 火事。日常的にニュース等で話を聞いたり、道路をサイレンを鳴らして走っていく消防車を目にしたことはあっても、自分の身の周りで起きたことがあるという人は多くはないのではないかと思う。
 私も幸いなことに体験したことはなかった。だからこそいざ火災が発生したら、という想定は全然していなかったし、自分がその状況下でどうしたら良いのかということも全然分かっていなかった。

 ちなみにこんな書き出しから始まるが、実際に火災が発生したという訳ではない。ただ火災報知器が(恐らくは誤作動で)鳴ってしまい、鳴り響く警報にテンパってしまったという話である。結果的に大事がなくて良かったが、もし本当に火災だったら私は逃げ遅れていたに違いない。そうでなくてもどうして良いか分からず長い間おろおろとしてしまったため、今回はそんな時どうすれば良いのかをまとめていく。

【火災報知器とは】

 『火災報知器』とは、火災による煙や熱を自動的に感知し、建物内の人達に火災をいち早く知らせるための設備である。これがあることで火災の発生を早期発見できるようになり、すぐに対処できるだけでなく逃げ遅れ防止にも効果的と言われている。

 火災報知器には、大まかに書くと「住宅用火災警報器」「自動火災報知設備」の2種類がある。
 「住宅火災警報器」は火災による熱や煙を自動的に感知し、感知器そのものが警報を鳴らすというもの。マンションを始めとして一般的な住宅によく付けられているタイプはこちらとのこと。
 一方の「自動火災報知設備」は、建物の一部に火災が発生した場合に警報システムに信号が送られて、マンション全体に警報が鳴る設備のこと。こちらはたとえばマンションの一室で火災が発生した場合等に、マンション全体に警報が鳴るシステムである。このタイプはマンションだけでなく、学校や役所、会社のオフィス等でも使用されているそうだ。

【感知器の種類】

 感知器とは、室内の天井に取り付けられていることの多いものである。

 ・熱感知器
 熱感知による火災報知器は、熱に反応してセンサーが一定の温度に達すると警報を発するというものである。こちらは一局所の周囲の温度が一定以上になった時に作動する定温式のものと、周囲の温度の上昇率が一定以上になった時に作動する差動式のもの等がある。
 定温式はキッチン等の温度が高くなりやすい場所、差動式は主に居間等の温度の変化が少ない場所に設置されることが多い。

・煙感知器
 煙感知による火災報知器は、火災報知器内に入り込んだ煙に反応して警報を発するというものである。一局所の煙によるイオン電流の変化により作動するイオン化式、光が乱反射することで感知器内のセンサーが作動して煙を感知する光電式、光を発する送光部と光を受ける受光部の間に煙が入ることで警報を鳴らす光電式分離型がある。
 こちらは主に寝室や階段、廊下に取り付けられている。

・炎感知器
 
炎感知による火災報知器は、火災により炎から紫外線や赤外線が放射されることを利用して警報を発するというものである。紫外線の変化が一定の量以上になったときに作動する紫外線式のものと、赤外線の変化が一定の量以上になったときに作動する赤外線式のもの、この二つの併用式がある。
 炎感知器は高温になりやすく熱感知器や煙感知器が使用できない場所や、映画館や劇場のように天井面が高い大空間に設置されることが多い。

【火災報知器が作動した時の対処法①住宅用火災警報器の場合

 火災報知器が作動した時は、まず最初に火元を探そう。もしそれが自分の家の中でのことならすぐ見付かるかと思うが、マンション住まい等でそうでなさそうなら外の様子を確認する必要がある。そして火災が発生していたら119番に通報し、火事であることを大声で周囲に伝えるようにする。
 急な火災だとどうしても慌ててしまうと思うが、この時何よりも大事なのは落ち着くことである。もし火災を早期に発見し、気持ちも落ち着いていれば初期消火を行うことも可能だからである。勿論少しでも危険を感じた場合や、対処が難しい場合はすぐに逃げることも大切である。

 しかし、いくら探してみても火元が見付からない場合もある。その場合は誤作動の可能性があるので、改めて状況を確認する必要が出てくる。
 例えば室内で火元が見付からない場合は、水蒸気や火災以外の煙を感知したり、感知器に虫が侵入してセンサーが反応したりで誤作動を起こしている可能性がある。住宅用火災警報器であれば、警報停止スイッチやひもを引く等で警報音を止めることができるため、それから原因となっている要素を取り除くようにすることで対処できる。

【火災報知器が作動した時の対処法②自動火災報知設備の場合

 しかし、自動火災報知設備の場合はまた対処が異なる。
 というのも、こちらは室内の感知器が熱や煙を感知したことで受信機に火災信号が送られ、建物の壁面に取り付けられている発信機の音響装置(ベル)を鳴動させて建物内に報知する、という設備だからである。
 マンション等の場合、簡単に言えば各部屋に取り付けられている感知器をまとめて監視していて、そのどれか一つでも信号を受信するとマンション全体に知らせるために鳴り響くということである。

 下の写真のような丸く赤い形をしたものがよく見る発信機である。

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 これは「総合盤」と呼ばれているものらしく、この中に「音響装置」と「発信機」、「表示灯」が含まれている。この総合盤を見て頂ければお分かり頂けるだろうが、このタイプのものには警報を止めるための操作をする場所が一つもない。
 「強く押す」というボタンは消防局に火災信号を発信するためのものであり、これを押しても音そのものが止まる訳ではないため、実際に火災が起きている時以外は絶対に押してはならないのだそうだ。

 この音を止めるためには、建物内のどこかにある受信機の所まで行って、音響停止ボタンや復旧ボタンを押す必要がある。また火災信号を発信している部屋を特定し、その部屋の感知器を止めなければならない。
 受信機は管理人室や玄関入ってすぐの場所等に設置されていることが多いが、決して個人の判断で対処するものではない。
 つまりこの自動火災報知設備の受信機が鳴っている場合は、たとえ誤作動でも個人で警報を止めることはできないということである。マンション等である場合、感知器が作動している部屋の住人以外ができることと言えば、管理人や管理会社へ速やかに連絡して対応して貰うこと以外にない。

 とは言え、目視では火事の兆候がなかったとしても、マンション等で警報が作動している時は一旦1階まで逃げることをお勧めする。そこで管理会社や消防局へ連絡し、対応を待った方が安全である。

【私の身に起きたこと〜事の始まり〜】

 先に対処法のまとめから入ったが、ここからは余談として私の身に起きたことを書いていこうと思う。
 大前提として、私は現在小さめながらマンションに住んでおり、私の部屋のすぐ横に写真のような自動火災報知設備の発信機が設置されているということを認識して頂きたい。いや本当に焦りましたとも……。

 その日、帰宅した私は食事も済ませてパソコンと向き合っていた。勿論note更新のためだったが、その最中に事件が起きる。
 突然ジリリリリリという大きな警報音が鳴り響いたのだ。
 最初は勿論訳が分からなかった。何となく火災の警報音な気がしたものの、私は部屋で黙々と作業していただけ。他には何もしてなかったし、コンロで料理してからも結構時間が経っていた。しばらくは何が何だか分からず固まっていたが、流石にまずいと思い行動を開始する。
 私の部屋には数箇所に感知器が設置されていたが、慌てて見て回ってもそれらが光ったり鳴っている様子はない。少なくとも私が過ごしている自分の部屋の中で、何か異変があった訳ではなさそうだった。
 というより、そもそもこの警報は外から聞こえるような気がする……。

【私の身に起きたこと〜警報音の発生源確認〜】

 そっと扉を開けて外に顔を出すと、部屋のすぐ横にある赤いものがけたたましい警報を発していた。三角形の形をした表示灯は赤く点灯していて、いつまで経っても鳴り止む様子はない。この辺りでまさかこのマンションで火事……!?と思い当たった私は、慌てて他のフロアを確認した。
 しかしざっと見た感じでは異変は感じられない。煙も出ていないし誰かが慌てて出てくる様子もなかった。首を傾げながら部屋まで戻ると、隣人と思われる人が一人出てきていた。私が真横の部屋の住人であると分かると、「それ早く止めた方がいいよ」とだけ言って引き上げていく。

 え、これ私に責任があるものなの!!?とますます慌ててしまい、何とか止められないかと私は咄嗟に「強く押す」ボタンを押してしまったのだった……(これがまずい対応なのは上で説明した通りである)。
 しかし勿論止まる訳もなく。私は一旦部屋に引き上げ、震える指で対処法の検索を掛け始めた(この時点で鳴り始めてから10分は経過していたし、万が一密かに火災が拡大していたら危険であるのは言うまでもない)。
 そうしてようやくこのタイプは個人では止められない回ったものらしいということを知り、危険性も低そうなことからとりあえず管理会社に電話!!となった私は、急いで番号を探して電話を掛ける。
 しかし一向に繋がらない。よく見ると受付は18時までとなっていた。
 もう20時回ってますけど!!ならどうしろと!!!

【私の身に起きたこと〜消防士到着後〜】

 結局音を止められず、部屋に居ても真横にあるせいで大きな音が絶えず響き続ける状況下で、私はどんどん神経を削られていっていた。いっそ119番するべきか悩みながら再度部屋から出ると、いつの間にか建物の横に消防車が到着していた。これで解決する!と思いながら事情を聞きに行こうとした時、丁度階段を上ってきた消防士の方と鉢合わせた。
 その方と話して分かったことをまとめると、まず今回消防士の方々が来たのは、私が発信機のボタンを押したからであること(お手数を掛けてすみませんでした……!)。状況的に誤作動の可能性が高いこと。そしてこのタイプは建物の部屋をすべてを見ているため、どの階のどの部屋の感知器が原因なのかは調べるしかないということを伝えられた。

 その時、自分の部屋の感知器が赤く光ってないか確認するように言われたため確認したが、やはり私の部屋の感知器は何ともなかった。
 消防士の方々の到着後に一時は止んだりもしたが、結局断続的に鳴っていたのでまだ解決はしていないようだった。消防士の方々はそれから各部屋をインターホンを鳴らして感知器の確認をし始めたようで、私は部屋に戻っても大丈夫と言われたためその先は見ていない。
 最終的には30分以上警報を発し続けていたが、それもやがて止まって何事もなく過ごせたので心の底から安堵した。
 消防士さん本当にありがとうございました……!

【私の身に起きたこと〜教訓〜】

 何はともあれ一番大事なのは、どんな不測の事態でも冷静に考えることだと強く思った。少なくとも警報を聞いて固まっている場合ではない。
 また、あの赤いボタンは火災時以外は押さないようにと強く心に刻んだ。あれを押しても音を止められる訳ではないのはよく分かったし、その前に電話すべきところに電話する必要がある。
 そのため、予め管理会社の電話番号を確認しておいたり、繋がらない時は119番に電話することを躊躇しないことが大切である。その場合、ベルが鳴っているが煙や臭いがない旨を伝えると良いそうだ。

 警報が鳴っていても誰も出てこない、見た感じでは何ともない……という場合でも、万が一を想定して動いた方が良い。私がしてしまったように、誰も騒がないからと部屋に籠もっているのは危険なのは明白である。
 きちんと避難して身の安全を確保し、その上で対処のための行動をするように心掛けていきたい。

【最後に】

 書きたかった話は以上となる。特にマンション住まいの方はこのような事態に巻き込まれる可能性が充分あると思うので、その時はぜひ参考にして頂ければと思う。
 最後に私の心の叫びになるが、私以外誰も行動しなかったんかい!!!と冷静に振り返れる今になって思う。誰かが対応してくれるから〜と悠長に思っていると、万が一の時に危険な状況に陥る可能性があると思うので、個人的には積極的に動いた方が良い気がしてならない。
 また、あのタイプの場合は設置場所の横の部屋が原因とは限らないあたかも原因が私にあるかのような態度を隣人に取られたのが悲しかったので、皆様はぜひ誤解のなきようお願いできれば幸いである……。


□その他note


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