【トレーニング日記】 トレコ 末端を鍛えるの巻

 トレコは手首を鍛えました。足の裏の次は上半身です。上半身のトレーニングはとても大事だと、トレコは考えています。
 女性は男性に比べ、上半身が弱くなりがちだからです。脚は、すぐに鍛えられるのです。
 トレコはバレー部でしたが、やはりゴツゴツで、太くたくましい脚をしていました。上半身もそこそこ筋肉はついていましたが、やはり脚です。なんといっても脚。おそらく周径囲で五十センチはあったでしょう。日本の女子選手にありがちな体型のように思います。
 しかし本当に必要だったのでしょうか?トレコは思うのです。もちろん、アスリートにとって筋肉は大切なものです。だけど欧米の女子バレーボール選手を見て思うのです。世界のトップレベルで活躍している選手の脚はスラッとしているのに対し、トレコの脚はただ太いだけ。そんな気がするのです。
 あれほどまでに蓄えた筋肉の内、有効に使えていた筋肉はどれくらいあったのだろう。トレコはそう思うのです。
 そして男性のカモシカのような足を見て思います。
 上半身と下半身の筋力のバランスが取れてこそ、美脚は作れるのではないか?
 現役ではないとはいえ、トレコはまだ上半身に比べ、下半身が弱いです。スクワットなら八十キロでも挙げられるけど、ベンチプレスは二十キロが限界です。
 だからトレコは上半身を鍛えることにしました。ベンチプレスやローイングなどで胸や背中の大きな筋肉を鍛えます。トレーニングは順調で、動きも良くなってきました。
 ところがバレーボールをすると、肩が痛むのです。脱臼経験のあるトレコの肩は今にも抜けそうで、うまく力が入りません。
 そしてトレコは末端のトレーニングに取り組みます。中心部の大きな筋肉で作った力を扱えるだけのパワーが末端にも必要だと思うのです。
 トレコは二キロのダンベルを持ち、リストカールとリバースリストカールをしました。
 膝に肘をつき、ダンベルを握って手首を曲げます。このとき、手のひらを上に向けて行うのがリストカールで、手のひらを下に向けて行うのがリバースリストカールです。
 意外と難しいのが、肩をひねらずに前腕を動かすことです。
 前腕とは、肘から先、手首までの部分です。この部分は日本の骨が並列していて、肘から先をひねることができます。
 肘を固定したまま手のひらを上に向ける動きが回外で、下に向ける動きが回内です。この動きが上手くできないと、肩をひねることで補おうとします。代償動作です。
 トレコは回内にも回外にも代償動作が出ています。肩を動かさないよう意識して前腕を回外し、リストカールを曲げます。
 代償動作があった時点でのリストカールはあまりしんどくなくて、手首がグラグラするくらいだったのですが、代償動作なく行うリストカールは手首の奥の部分にとても負荷がかかります。
 手首から五センチあたり、ちょうどリストバンドをする範囲を使っている感覚があります。
 これにはトレコも大喜びです。きっとバレーボールでいいスパイクが打てます。肩のトレーニングをしてからのトレコは手首がボールに負けてる感覚がありました。次のバレーボールが楽しみです。
 そしてトレコは立ちます。トレーニング後の状態の変化を確認するためです。脇に空間ができ、肩幅が広がったような感覚がします。腰の位置が高くなりました。
「これはきっときれいなくびれができるぞ!」
トレコは今からワクワクします。
 追加で首のトレーニングも行いました。前、横、後ろの四方向に動かします。首の動きは複雑でうまくできているかわかりませんでしたが、背筋がすっと伸び、背が高くなったように感じます。
 毎日ゆるく末端のトレーニングをして、中心のトレーニングを週に一度行おう。新しい習慣に心躍るトレコなのでした。

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