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点字が世界をひらく|こぐまちゃんとどうぶつえん(てんじつき さわるえほん)

時間が経ってしまったけれど、PIECES×soeruの and books issues で購入した三冊目の絵本がこちら。

ほかの二冊についてはすでに書いた。

三冊の中でもっともベビー向けだと思って最初に読み聞かせたのだけど、ベビーの反応は芳しくなかった。それはたぶん、わたしの初めての読み聞かせ体験(対ベビー)だったからだろう。

幼児や小学生に絵本を読んだことはある。なんなら中学生にも。
だけど、同じ言葉を話さない乳児は初めてだ。しかもわたしがベビーに読み聞かせをするのが初めてなように、ベビーも読み聞かせられるのが初めてである。

初めて同士が互いに「?」「?」となりながら読んだ、記念すべき一冊目がこぐまちゃんだったのだ。

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こぐまちゃんといえば、ホットケーキ。
少なくともわたしはそうだった。仕事場(子どもの入所施設)にも『こぐまちゃんのほっとけーき』があって、何度も子どもたちと読んだ。
だんだん焼けるホットケーキの音が本当においしそうで、読んでいてワクワクするのだ。

今回のこぐまちゃんは、動物園に行く。
そしてなにより、点字つきである。

点字の本自体、手に取るのが初めてだった。
文字の部分に点字が打ってあるんだろうなと想像していたけれど、それは半分正解で半分間違いだった。文字だけじゃない、絵も点字なのだ。

こぐまちゃんや動物たちの絵は、触れるとボコボコしている。いろんな触り心地で、絵が表現されていた。そうか、点字だとこうなるんだ!

目を閉じて触ってみる。
指先の情報だけで描かれたものを想像しようとするけれど、難しかった。伊藤亜紗氏『目の見えない人は世界をどう見ているのか』にも書いてあったけれど、目が見えない人がみんな点字を読めるわけじゃない。文章を読む感覚で、絵を見る感覚で点字を読み取るというのは、きっとかなり高度なスキルが求められるんだろうと思う。とりあえず、「ん」が「.:」であることだけ把握した(鍵かっこを閉じるみたいで感覚的にもわかりやすい)。

一方で、「読めないけど触感を楽しむ」ことはできる。ページのあちこちを指先で、手のひらで、触って確かめるのはおもしろい。ベビーにも触らせてみたが、まだ「表面を撫でる」という動作を実装していないのでうまくいかなかった。

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先輩ベビー(二歳)がママと一緒にわが家に遊びにきてくれたことがある。そのときに絵本を差し出したら、喜んで飛びついてくれた。
ママの読み聞かせに正座で耳を傾ける姿はとても愛らしくて、うちのベビーも二年後にこんなふうになっているんだろうかと勝手に想像してキュンとする。

先輩ベビー(二歳)がガリガリと全力で点字を楽しんでいるときにママが放った、「(点字で)爪研がないで!」が秀逸だった。爪研ぎにもなる絵本、最高である。



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