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あなたって人

あなたと私ではたまに愛の重さが違うと感じることがある。
バカにする訳でもないし、自分が偉いとも思っていないけれど恐らく苦労の数が違う。
私は勉強ができないし、その努力も怠る人間だからそこは彼のことを尊敬しているし他にも素敵だと思うところは沢山ある。

人間関係や環境でかなり苦労してきた私は何度も死を連想した。自分も誰かと比べれば恵まれていることは知っている。
けれど身を投げ出してしまいたくて仕方が無い時期があったのだ。
もれなく人間なら誰しも一度は死を連想するものかと思っていたけれど苦労人の母に「どんなに辛くても死にたいと思ったことは一度もないよ」と言われて驚いた。

彼も死を連想したことが無い人だ。
そこだけは相容れないなと思う。
なので私は死を連想したことがある人と仲良くなる傾向にある。辛さが分かるから心優しい人間が多いのだ。

私は高卒で社会人歴が6年目に突入したけれど、彼は2年目だ。
大学も大変だと思うし、勉強ができない私なんてきっと奇跡的に入れたところで卒業出来ないだろう。
しかし、私の社会人経験というのはしなくてもいい苦労まで沢山した気がする。
そんな中で出会った私達は恋に落ちたわけだけど、愛のベクトルが少し違うみたい。

彼はまだ大学生みたいな感覚なのかな。
たまに、愛がとても軽く感じることがある。
それでも私は彼と一緒にいたいと思うから目を瞑る。私にも彼に迷惑をかけていたり彼から見て相容れない部分があると思うから。
言い方はとても悪いけれどそこは諦めた。

こないだ一緒にパスタを食べた時。
彼が自信満々に「ここはこのパスタが1番美味いよ」と早々に注文を決め、私は無難にミートソースパスタにした。
いつも私たちは食べ比べをするのだが彼の選んだパスタは本当に美味しくて「次からはそっちにする!」と思わず宣言。彼も、そうでしょ〜?とニコニコ。
「なんだか少し味が薄いんだよね。もう少し濃い味が好きだな、美味しいけどね」と私が漏らした時に「俺のと交換しようか?」と彼が言った。

なんだかその瞬間に「本当にこの人は優しいな、この人で良かったな」とホッコリしてしまった。
ベクトルは少し違うかもしれない。
けれど彼なりに私のことを愛してくれているんだなと、とても幸せな気持ちになった。

たったそれだけの事だけど私にとっては大事なこと。
そんな惚気でした。


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