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骨髄バンクに登録していた私が骨髄提供した話9

・骨髄バンクのドナーの通院・入院費は誰が払う?
・移植前の患者さんのこと

骨髄バンクを介して骨髄を提供する準備を進める私。

骨髄採取前に、自分の血液をあらかじめ採っておくことになっていました。
骨髄採取では、たくさんの血液の細胞を失うことになり、貧血のおそれがあるため、採取の時に自己輸血するわけです。

骨髄採取予定量に応じて必要な血液量を1回又は2回に分けて採血します。(1回に200〜400ml)

これはすぐ終わるのですが、朝イチに予約して終わり次第働くぞ、とすると貧血が心配なので気をつけてください。


さて、ドナーはこのような処置を受けても窓口でお金を支払いません。
誰が払っているのかご存知ですか?
骨髄バンクでしょうか?

実は患者さんです。
検査費も入院費も、移植にかかるドナーの医療費を患者さん側が支払うのです。

その患者さん、骨髄移植の2週間前から『前処置』を始めます。
ドナーの細胞を受け入れるためです。

最終同意後、患者さん側は『間違いなく移植が受けられる』という前提で抗がん剤の投与や放射線の照射を受けます。
自分の造血幹細胞を壊します
激しい副作用に耐えながら命がけで移植を待つのです。

このことから、私は毎日健康に気をつけて、必ず入院までは自分も家族も絶対に病気にならないように!!と、とても使命感に燃えていました。
交通安全にも気をつけていました。
私の骨髄が、今患者さんにとって唯一の薬なんだという自覚を持って過ごしていました。

この頃採取を前にして患者さんからのお手紙をいただいていました。
こちらに内容を詳しくは書けないのですが、『今ある幸せは当たり前じゃない』そのことを心から感じていると、書かれていました。
患者さんの、なくしたくない、大切な、当たり前なんかじゃない幸せへの強い気持ちを前にして、私はお手紙の返事が書けませんでした。
ただひたすら毎日、自分と家族の健康を守りました。


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