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秋思

風と風のあわいのところ
道はまっすぐから
ひだりみぎへと分かれて
迷子になりかけると
風がこっちこっちと
手招きしてくれる

あまり人がゆかぬところ
わたしの問いに
生まれたてのあのススキ
どの芒も「はい」
また「はい」と手を挙げて
応えようとする

夏がほどかれたところ
傾斜する夕焼けが広がって
あの穂もどの穂も
頼りない穂の先っぽが
傷ついた指先に似て
歳の重みかと、秋を思ふ




*****



硬かった空が
やわらかくなりました。
夕雲が足早に
逃げるようになりました。
どうしても
寄り道したくなるような
芒の咲く原。

しゃらしゃらしゃら・・・しゃら。
ひと枠の薄日のさす小高い原に
わたしが近づくことによって
花穂がなびきます。
しずかで品のあるなびきでした。

秋がやってきた、そうかもしれない。
秋に向かっていった、わたしが。
あ・・・、こちらの方がしっくり。


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