外孫、内孫③

休日の朝になると、金曜日の夜に立てた予定がなくなっている。
「おばあちゃんのところ行くよ」という父の声に、「またか」と思った。
約束を破られた感覚はなかった。休日の朝、私が寝ている間に祖母から電話がかかってくるのは日常的で、それに応じる父。
そんな父に母は「私たちよりお義母さんの方が大事なんだね」と言い放ってよく喧嘩していた。

だから、そこに輪をかけるように、私からはいえなかった。約束が遂行されないことで不機嫌にはなっていたと思うが、言葉として出す機会は与えられなかった。
母が私の言葉を代弁して父に言ってくれていたわけではない。母は私の気持ちを受け止めるだけの余裕はなかったと思う。

祖母の家に行くと、私はポツンとソファに座って待っていた。もちろん、祖母の口から私の名前が出てくるわけでも、お菓子が出てくるわけでもなかった。

平日に仕事をして土日は祖母の手伝いをする父に、今覚えばよくやっていたよなと思う。
私もつまらなかったかと言えばそうではなくて、母に内緒で父とアイスを食べていたり、親戚がいて話したりと予想外の楽しみがあった。
また、喧嘩しても父は車の中で母の悪いところを決して言わなかった。だから、私は父と母のどちらの味方にも敵にもつかずに済んだのだと思う。

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