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♯46 【ブックレビュー】無人島のふたり〜120日以上生きなくちゃ日記〜

山本文緒さんがご逝去されてから3年になろうとしている。『無人島のふたり』が出版されると知り、読みたいと思いつつ機会を逃し続けていたのだが、最近ようやく購入した。

読み始める前、なぜか緊張してしまって。深呼吸をしてからページを開いたのだけど、あっという間に読み終えた。

この本は、山本さんがすい臓がんを発症し、余命宣告を受けてからご逝去されるまでの日々を綴った日記なんだけど、ストーリー性のようなものは、私は一切感じなかった。

体が弱っていくことへの不安や恐怖、ご家族のことを思って悲しむ姿がリアルに伝わるのに、冷静さも同時に感じるのだ。

余命宣告後の気持ちや心境が変化、変化する体調から感じる病気の進行をどう受け止めたのか、自分のことで悲しむご家族のさまをどんな気持ちで見ていたのか、迫ってくる死の影をどう受け止めたのか…

言葉にしづらそうな現実ばかりなのに、これほど冷静に観察できるとは。最期まで作家として生きようとされた山本さんの人生に対する誇りみたいなものを感じて、呼吸を忘れるほど夢中で読み進めた。

印象的だったのは、主治医から「週単位の命」と宣告されたあとに綴られた部分だ。闘病記は書籍やブログでたくさん読んできたのだけど、これほどに「死が迫っている」ことをリアルに感じたのははじめてかもしれない。

特に、9月27日以降の日記はリアルだった。でも、不思議と怖いとは思わず、こんなふうに死に向かうのか…と、学ばせてもらったように感じている。

最後の日記に出てきた王子の声は聞こえたんだろうか。聞こえていたらいいな。山本文緒さん、素晴らしい本をありがとうございました。


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