コットクラブ vol.52
暑くて溶けそうな毎日。
暑いのが苦手なわたしはいっそうのことアイスクリーム側の生き物になることにした。
アイス側の生き物になるのであれば、カップのチョコレートアイスになると決めていたので名前をカプチョと名乗ることにした。
わたしが行った冷凍庫には沢山アイスがいたがその中に1人だけわたしと同じく人間からアイスになった人がいた。
自己紹介しに行くとその人はソフバニと名乗った。
この人、人間時代はコーンのソフトクリーム派だったんだな。
とクスッとしたがわたしも同じような単純な名前をつけていたことを思い出し、ソフバニとは仲良くなれそうな気がした。
その予感通り、わたしとソフバニは仲良くなった。
冷凍庫の中で一緒にフィギュアスケート選手気分でスピンしたり、冷凍庫の霜でかまくらを作ったりした。
ある日ソフバニはわたしたちの役割について話した。
「いつまでもここにいちゃいけないんだ。わたしたちは来年の夏のために溶けなければいけない。ここから出て溶ける瞬間にどれだけアーティスティックに溶けれるかによって来年の夏の地球の気温が変わってくるんだ。」
えーーー!?わたしはびっくりした。
急な思いつきからアイスになったのに、まさか地球温暖化を救う2人の1人になっていたとは...
ソフバニによると、どこから見られているかわからないが冷凍庫から出た瞬間に審査は始まるらしい。
ソフバニとわたしは地球を救うため今すぐ冷凍庫を出る決意をした。
冷凍庫から出てまずは遊んでいた時に鍛えたスピンをした。
ソフバニはトリプルアクセルもしていた。
そしてどんどん溶けてきた。
ソフバニが大きくの白背景として溶けてくれたのでわたしはその上から文字になりながら溶けることにした。
人間時代に芸術的な髪型だなと思っていた「アフロ」という文字が出来上がった瞬間、わたしは人間に戻った。
日付を見てみると2024年の7月だった。
肝心の天気を見てみると昨年より1℃気温が下がっていた。
大幅に下がることはなかったが少しでも地球温暖化に貢献できた気がして嬉しかった。
しかし相変わらず暑いので、アイスを食べようと冷凍庫を開けるとそこにはソフバニにそっくりなアイスがひとつだけあった。
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