20161130からの手紙
今年は冬が来るのが遅い。
秋から冬へのグラデーションはひどく曖昧で、冬を知るきっかけなんていうのはひどく些細なものばかりだ。吸い込む空気に痛みを覚えるようになった瞬間、吐き出す息が白くなった瞬間、グレーがかった世界に寂しさ以外の何かが混じった瞬間、夜の密度が上がったことに気づく瞬間、誰かと誰かが身を寄せ合って、楽しそうに笑う瞬間。
瑣末なこと、だろうか。
君が生きていることや、僕が生き続けていること。いつかどこかの選択が違えばここにあったかもしれない今や、誰も幸せになってい