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絵本『まっかないちご』

今年の2月、鳥取県立図書館で小取舎の講演会をした際に来てくださった方からの紹介で、絵本が作りたい方がいるというお話をいただいた。絵が上手というわけではないけどということをお聞きしていたが、本人とお会いして、実際絵を見せてもらったら落書きに近い絵だった。女子がA4の普通紙を折ったり切ったりして冊子化した紙にはいちごがキャラクターとして描かれていて、テーマもわからず困惑した。とりあえず絵本も作ったことないけど話を聞いてみよう。

彼女は保育士で、ご自身でも母子・女性限定のリンパケアマッサージのお店も持っている。彼女が学生の頃から思い描いていた苺の物語が十数年の時を経て、ちょっとしたご縁で小取舎と出会い、絵本を作ることになった。

小取舎としても初の絵本。以前、知り合いの働いている今井書店倉吉パープルタウン店で「本についての本はないですか?」と聞いたらその方が「これしかないんです」と出してくれた、絵本を作るためのムック本を「まぁいつか役に立つだろう」と思って買っていたのだが、これがこんな早めに役に経つとは。

絵本って普通の本を作る手順と違って、絵がありきなんですよ。当たり前ですが。文字主体の本なら編集的なアドバイスをするならここを直してくださいとかこの部分の表現を変えてくださいって簡単に言えて、著者の方もわかりましたって直してくれたりするのですが、絵ですから描き直しってことになるわけです。しかも今回は画家さんでもなく漫画家さんでもなく絵の学校に行った方でもないわけで。本番の絵を描く前に結構な準備をしておかないと手間だけ取らせることになってしまう。

作者のふわりさんは原案を旦那さんに見せたら、私と思ったことが一緒らしくて「テーマは?」って聞かれたらしいです。どうしても大人の考えで考えてしまってテーマは?とかオチは?とか気になっちゃうんですよね。

こんなストーリー
いちごが畑で生まれる→青から赤く色づいていく→みんなのお口に入る

ふわりさんは保育士なので職場で読み聞かせもしているらしいのですが、今回の絵本のターゲットが3〜5歳なのです。つまり大人が面白いと思う絵本と違うわけです。大人が「おお!」と思うテーマをつけたところで子供には意味がわからない。ターゲットも5歳前後とか小学校低学年や高学年で全然違ったものになる。考えればそうなのですが、それまで考えたことがなかった。目から鱗。

まず、原案から実際の絵本にする工程の中で、どういう絵本にしたいかというところから二人で話し合い、やはりそのくらいの子供たちに読み聞かせをしたい、そしてこの絵本を買ってくれたお母さんに読み聞かせをしてほしいとのこと。次にこの絵をどう絵本にしていくかの話し合い。画材は暖かい手作り感もほしいということで色鉛筆を使うことに。ページは表紙など含め20ページとしたので、ふわりさんには描き加えたりしてもらったり、ストーリーを膨らませてもらったりして原画を作ってもらいました。ここは子供に突っ込まれるかもという部分も直してもらったり(子供の方がシビアだったりするんです)。小取舎で絵の置く位置を調整して物語のテキストをつけたりして完成に近づく頃には、不思議と最初落書きのようだったいちごちゃんがどんどん愛おしくなってきた。印刷所から上がってきた時、子供が成長した時のように嬉しくなり、印刷所の方も可愛い絵本と褒めてくれて、作ってよかったなぁと。

納品した時、ふわりさんも喜んでくれて、一緒に何回も絵本を見ながら「できましたねー!」と喜びを分かち合った。その日の午後に彼女がボランティアで参加している やわらかい風 の月一イベントで、来ていた子供たちに読み聞かせをしてきたという。あとで写真が送られてきました。

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子供たちからも「おいしそう!」「かわいい!」「色がきれい!」とか褒められたらしい。絵本を買ってくれた方もいたそうで初めてサインみたいなのを書いたみたい。もう絵本作家さんです。

漠然と思っていた「絵本をいつか作りたい」という思いを形にできて良かった。いつかを近い未来に近づけれるようにお手伝いできたことも、小取舎初の絵本を作れたことも大変いい経験だった。


『まっかないちご』を欲しい方は小取舎までご連絡ください。
rockcrime.tottori@gmail.com
(100冊発行なので数に限りがあります。『まっかないちご』希望、お名前、ご住所、冊数をお送りください)
価格800円


ふわりさんの母子・女性限定サロン Baby youのリンクはこちら

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