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喫茶店の人

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喫茶店にまつわる人へのインタビュー
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#純喫茶

喫茶店の人 #7 【純喫茶ブラジリア】 吉岡敏子さん

山之内遼さん、九州で亡くなったって聞いたで。独身のまま逝ったんやなぁ。店には何回も来てくれたわ。本が売れたからカラーでまた出したんやってね。わりとええ値段やのに、買うてくれる人がいるなんてありがたいな。 山之内さんは生きとった証を残したんやな。 本に載せてもらったお礼に年賀状を出しとってん。そしたら彼のお母さんから電話がかかってきて亡くなったことを教えてくれてん。 びっくりしたもん、それ聞いた時は。 もう身体はボロボロやで。 天国行くのん近いけん。 昔やったら生きとれへん

喫茶店の人 #4 【鎗屋町喫茶室 街の灯り】 藤本由美さん

黄昏時を過ぎると、ひときわ目立つ灯り。 人々を照らす灯りは、安らぎの象徴だ。 藤本由美さん(58歳)が母親とともに喫茶店「more」を営んでいたのは40年前。喫茶店の出店が最盛期を迎えた70年後半〜80年初頭は喫茶店黄金時代だ。専門店のようにコーヒーの種類が多かったこともあり、店は繁盛した。 「母は百貨店内の喫茶店の店長をしながら、いつか自分で店をやろうって計画してたみたい。私はアパレル系の会社で働いてたんだけど母の手伝いをするために辞めました。喫茶店に行かないとコーヒー