映画「メリー・ポピンズ・リターンズ」感想

 メリー・ポピンズにまったく思い入れのない小生が、前作を数十回はリピートしている年季の入ったファンであるところの家人どもと共に視聴をしたのが、間違いであったやもしれぬ。

 最初のうちは、いがらしゆみこ作画で「リメイクじゃなくて続編なんだー」「ここ、前作のあの場面を意識してるよね」などとキャッキャ・ウフフ状態だった家人たちは、ストーリーが進むにつれ、次第に不機嫌そうに腕を組み始め、原哲夫作画の渋面となっていった。

 「前作と違って耳に残る魅力的な曲がひとつもない」「わざとクロマキー感を残している合成があざとくてイヤ」「エミリー・ブラントの演技プランがダメ。ジュリー・アンドリュースの魅力の足元にも及ばない」「後半のミュージカル群舞だけど、ディズニーランドに舞台ごと移設しての再演を目論んでいるのがミエミエで鼻につく」「感情面で機能不全を起こした家族をメリー・ポピンズが救うというのが前作。今回の家族は金銭面でしか問題を抱えていないので、わざわざメリー・ポピンズが救済する意味がない」「そもそもメリー・ポピンズの魔法は子どもにしか見えないはず。メリー・ポピンズの魔法によってまず子どもたちが変わり、その子どもたちに影響を受けて大人たちが変わっていく。大人たちに魔法が見えてる時点で、この監督はメリー・ポピンズの何たるかが分かっていない」ーー坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、それはもう聞いているこちらの肩身が狭くなるほど、クソミソの大批判大会と化していった。

 私にとってはごく標準的なミュージカル作品のひとつとしか映らなかったため、ロブ・マーシャルに親を殺されたかのように繰り広げられる悪口雑言に、正直ドン引きした。しかしながら、ライアン・ジョンソンやカントク(Cunt-Q)の作品をけなすときの自分の姿は客観的に見ればこんな感じであろうなと、己の行状を深く反省させられた次第である。

 あと関係ないけど、エミリー・ブラントってバーチャファイターみてえな顔してるよな。

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