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My 句集

2018年に始めてみた俳句。
いろいろな場に投句してみて、(そこそこの…)好評価をいただけた句をピックアップしています。
時々更新、まずは200句目標 ♪
のんびり楽しみながら続けてみようと思います。
(2022年9月10日現在 81句)

★2022年★

封書にて結果通知や福寿草

草の花肩書きは「タロのおばちゃん」

行間に悲しみ梟の夜啼き

吾亦紅終の住処は風の国

覚えては忘れる地名春の雲

夕桜夫の退院先は空

サキソフォン棚に返して卒業す

ワカケホンセイインコ桜貪る

春日傘影にも薄き花模様

答え探して朧の古書店街

影絵のごと絵描きの鞄から蝶々

日曜の君は無防備四十雀

身のうちに生まれるひかり朝の滝

紫陽花は昨日も咲いていたよ、母

炎天や短い影がボール蹴る

★2021年★

水鳥の時間ゆっくり昼の月

狐火や阿部定ここに住んでいた

吾の帰り磯巾着が待っている

ライアーの音色まあるく梅雨の底

告げられた余命超えたよ薄氷

捨てられぬ犬小屋雨の日の落花

泉に目のぞけばのぞき返されて

風なき日の風鈴退職の夕

月涼しチェロの音色は森の声

「サミシイ」のこだま夕刻の郭公

洗いたてのカーテン立秋の光

さみしさは日記に仕舞う石榴の実

満たされて蟷螂のまなざし静か

お見舞いの帰り赤すぎる鶏頭

空映す出水うつくしくてかなし

★2020年★

雪女通るとき世界は無音

転生の予行練習冬眠す

袖口に隠す手のひら冬に入る

麦踏めばほのかに匂う明日の風

寝たきりの夫の爪伸び花の雨

雪解風ゴリラ二頭のドラミング

新居の出窓ひとりじめの夕焼け

ヒヤシンス父の書斎の老子読む

初夏の駱駝のくちびるやわらか

大人用おむつ重くて雲の峰

バリだもの椰子の木柄の水着買う

コンポスト発酵夜の鰯雲

正解のない問いばかり西瓜切る

大樹からあまたの声や野分晴

キッチンに隠し持つ武器唐辛子

小鳥来る壊れたままの掃除ロボ

教室の古き地球儀小鳥来る

それぞれにある物語鳥渡る

秋晴やテニスコートに鳶の影

河童棲む沼のほとりや実紫

保護猫の小さき鳴き声草の花

熱燗や父無き父の誕生日

メタセコイアの森で瞑想鮫に会う

病院のポスト色なき風の音

祖母にメール返信は小春の葉書

向日葵の真ん中の闇ビッグバン

★2019年★

木枯しを味方につけて二十歳の恋

マスクからつと鼻出せば風に色

宇宙地球日本東京薄氷

どこからが延命だろう柏散る

窓に映る空を磨いて師走かな

サイネリア父の書斎に父なくて

地下鉄の出口複雑つばめ来る

廃校の色なき空やこどもの日

水鉄砲発射ひこうき雲ぐんぐん

サンキャッチャーつんと弾いて梅雨の底

麗かや急須の影の鳥に似て

玉ねぎや自分探しの意味の無さ

新盆や父の書斎に父のペン

濁声の八百屋なよやかに持つ桃

シフォンケーキ舌にほわんと秋思かな

病院の消灯早し蚯蚓鳴く

初冬の窓辺鳥語を話す猫

また一軒本屋なくなり夕時雨

父の墓あったかそうに落葉満つ

★2018年★

夏草や夫は病院のにおい

物干しのシャツに蝶父の命日

手のひらに小さき心臓雨蛙

百万本の向日葵さんざめく星

秋刀魚焼く音符の跳ねるフライパン

鵙鳴いて風も私も凛とする

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