日商簿記検定について 後編

前編・中編に引き続き、私の日商簿記遍歴について書いていく。なお、今回の後編で「日商簿記検定について」は終わりとする。

就職活動が終わって

私が日商簿記の取得を目指した理由の一つは、就職活動に役立てるためである。しかし、ESを出す段階に至っても「日商簿記検定2級」の試験には合格できず、結局、私は「自動車運転免許資格」しか資格を持たないまま就職活動に臨むこととなった。

金融業界を志望しているのに、金融系の資格を1つも持っていないなんて、非常に不利な状況だ。資格がない分を、どうにか他の要素でカバーしていかなくては。

なんて当時は考えていたが、実際には、就活で簿記を始めとする資格の有無による不利を感じることなどなかった。もし難易度の高い資格等を私が持っていたら、有利を感じられたのかもしれない。しかし、どちらにせよ私の第一志望だった金融機関には内々定を頂けた。そのため、結果論になるが、私の就職活動には「簿記」の資格は不要だったと言える。

第一志望だった金融機関は、全国的に超有名、と言えるほどの知名度があるわけではないので、競争率があまり高くなかったのかもしれない。そのおかげで、簿記を持っていない私でもなんとか滑り込めたのだろうか。
ただ、第二志望だった地元の労働金庫にも内々定を頂けていた。やはり私が就職先として想定していた企業群では、日商簿記を始めとした資格の有無はそれほど重要視されていなかったように感じる。

実際、経団連所属の企業に対するアンケート調査によると、新卒就活において資格の有無が全く重要視されていない、という情報を目にしたことがある。また、大学のキャリア支援センターでも、資格よりも、大学生活を充実させて、それを自身の言葉で表現できるかがが大切だと学んでもいた。

知識としては入っていたはずのそれらの情報を無視し、私はなぜか就職活動を有利に進めていくために資格、特に「日商簿記検定2級」が必要だと思い込んでいた。おそらく、簿記の勉強を始めた当時の、自分への自信の無さをそのままずるずると引きずっていたからだろう。

そんな私でも就職活動を何とかやり切れたのは、おそらく減量により40キロの体重を落とした過程で、自己肯定感を高めることができたからだと思う。
なお、減量については、今回のnoteの主題とずれるため、詳しく述べることはしない。

とにかく、私が必要だと思っていた「日商簿記検定2級」という資格は、案外なくてもどうにかなるものだった。それでも私は、現在3回目となる簿記の勉強を始めている。次からは、私が再び簿記を学び始めるまでの経緯と、これからの簿記との向き合い方について書いていくこととする。

簿記とコンプレックス

就職活動を終えた私には、人生最後の夏休みともいうべき、長い自由時間が与えられた。正確には、卒業論文や入社前の事前研修があったため、完全に自由というわけでもなかったが。

ただ、就活が終わった直後の6月から12月くらいにかけては、本当にやらなければならないことがなかったため、私はどのように時間を過ごすかを考えることにした。そこで最初に思いついたのが、資格勉強である。

前提として、私は大学に入学してから「自分のコンプレックスを克服する」ことを目標に行動してきた。簿記を始めるきっかけとなった「数学嫌い」、ダイエットで克服した「113キロの体重」など、自分が抱えていた様々な課題に取り組み、そして一定程度、解決してきたつもりだ。

「数学嫌い」についても、日商簿記検定2級には合格できなかったものの、簿記の勉強自体は楽しめるようになっていった。そのため、自分の中でそこまで必死になって克服するほどの課題ではなくなっていたのである。

私の「数学嫌い」を矯正してくれた簿記。しかし、その簿記は私へ新たに「人に誇れる資格を持っていない」というコンプレックスを植え付けた。

私にとってコンプレックスとは、悪いものではない。コンプレックスを克服していくたびに、少しずつ自分を好きになってこれたからだ。最初のコンプレックスである「113キロの体重」を克服してからは、自然とそう思うようになっている。

そこで私は新たなコンプレックスの克服のため、人生最後の夏休みを資格勉強に費やすこととした。

私の資格ブーム

資格勉強をすると決めた私が最初に取り組んだのは当然、簿記の勉強、ではない。私が最初に取り組んだのは「証券外務員一種」という資格である。これは金融機関で働くうえで必須の資格であり、入社前にとっておいた方が良いかな、という軽い気持ちで勉強を始めた。

私は苦手だった数字を扱う「日商簿記検定2級」をいきなり受けて、2回も不合格となった。そして、勉強に対するモチベーションが一時期著しく低下したのだ。そのため、まずは私が受けたいと思った資格を受けてみることとした。

「スタディング」というオンライン講座を用いて1か月程度勉強し、試験を受けた結果は、見事合格。と言っても、「日商簿記検定2級」に比べれば、そこまで難しい資格ではない。ただ、資格試験に合格した、という実績は私のコンプレックス克服にとって非常に大きいものだった。

この調子で、どんどん資格勉強を進めていきたい。そう考えた私が次に受けた資格は「FP3級」である。「FP3級」はお金に関する幅広い分野について学べる資格で、こちらも金融業界でよく取得が推奨される。「FP3級」は「証券外務員一種」と一部内容が重なる部分もあり、資格勉強にはほとんど苦労しなかった。市販テキストと問題集、そしてWEBで過去問をひたすら解いたことで、満点合格することができた。

「証券外務員一種」、「FP3級」と金融系の資格が続いて、ようやく次こそ簿記の勉強を始めると思いきや、ここで私はなぜか「ITパスポート」の資格勉強を始めた。自分でもあまり覚えていないが、「証券外務員一種」の勉強に用いた「スタディング」というオンライン講座のWEBサイトを見ていて、受けたくなったのがきっかけだったと思う。

自分の就職先である金融業界とあまり直接関係しない知識かもしれないが、今の時代、どの業界にいてもITの基礎知識は必須である。そしてIT分野について、自分が疎いという自覚が私にはあった。ならば、そこまで勉強時間もかからないし、自分の興味関心を探る上でも有用だろう、と考え勉強を始めてみたのだ。

「ITパスポート」も1か月程度の勉強で合格。金融系の基礎資格に加えて、IT用語の意味を理解したことで、この頃から日本経済新聞がすらすらと読めるようになった。このことは、学んできた知識が自分の中に定着してきている、資格勉強にはやはり意味があった、と強く実感できた出来事であった。

ようやく、簿記

「証券外務員一種」、「FP3級」、「ITパスポート」。
それぞれ高難易度資格ではないものの、無事合格できてきたことから、私の資格試験に対するコンプレックスは大分薄まってきていた。

そこで満を持して受験したのが、「日商簿記3級」である。既に2度、2級の範囲までは勉強済みであったが、いきなり2級を受けて失敗したこと、卒論等が忙しくなってきて資格勉強に割ける時間が無くなってきたことから、まずは3級を受験することにした。

以前購入した「クレアール」というオンライン講座の講義が、1年保証&コロナで延長によりまだ視聴できたため、改めて動画を見直してみた。すると、初めて勉強したときはぼんやりとしか理解できなかった講義の内容が、すんなりと理解できるようになっていたのである。当然かもしれないが、今までの簿記の勉強も、全く無駄なものにはなっていなかったのだと嬉しく思った。

理解できるようになると、勉強は楽しくなるな。
なんて思いながら、簿記の勉強を1か月程度した後、私は「日商簿記検定3級」の試験を受けた。結果は合格。簿記の勉強を始めたときに掲げた「日商簿記検定2級」の合格という目標にはまだ到達できていないけれど、こうして自分の勉強の成果が資格として形になったことは非常に嬉しかった。

これからの簿記との向き合い方

最後に、これから私がどのように簿記に向き合っていくかについて書いていく。

まず最初に書いておきたいのが、私に簿記の適性はあまりないだろう、ということである。簿記が苦手なわけではないが、得意というほどでもない。簿記の勉強を始めた当初は、「このまま経理にでもなろうかな」なんて甘い考えも抱いていたが、おそらく私に経理は向いていない。

上記のように考えたのは、私の能力を悲観的に見ているからでも、簿記に対するコンプレックスが残存しているからでもない。ただ単純に、「知識・技術として有用だが、極めるほどの適性は私にはない」というだけの話である。もっと言えば、同じ金融系でも、「FP」などの方が興味を持って学べたのだ。

自分にどのような適性があるかは分からない。もしかしたら、何の適正も持ち合わせていないかもしれない。けれど、私が今興味を抱いていることの順位くらいは把握できる。なのでとりあえず、進みたい方向が定まるまでは、自分の興味に沿って勉強をしていきたいと思う。

ただ、簿記について「日商簿記検定3級」の合格のまま留まるかと言われれば、答えは否である。自分の数字と資格に対するコンプレックスを完全に克服するため、そして金融機関で働いていくため、今現在「日商簿記検定2級」の勉強を進めている。

まずは苦手だった工業簿記から取り組んでいるが、3級の勉強を再開したときのように、初めて学んだ時には理解できなかった部分が頭に入るようになっている。この調子でどんどん簿記の勉強を進めていき、「日商簿記検定2級」に合格した際は、またnoteに書こうと思う。

ここまで読んでくださり、誠にありがとうございます。

以上、コトレでした。

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