見出し画像

サイコだけど大丈夫:ネタバレ感想

こんにちはコトノです。

『サイコだけど大丈夫』をNetflixで観ましたので、私ももう大丈夫です。(良かったね)

タイトル通りこの記事はネタバレ感想なので、ご了承ください。あらすじは簡単に言うと、人間ドラマ×ラブコメ。
ファッションや美術、役者の胸キュンサービスに心を射抜かれますが、最大の見所は"自閉症"と"トラウマ"を重点的に扱い、本当の意味での人間の多様性が描かれていることです。

ーーネタバレstartーー

印象深かったのが雨と傘。
序盤では、物語が盛り上がりをみせる時に雨が降り(しかもドッッッッシャ降り!)、後半では心が繋がる時に雨が降った印象。
傘でムニョン、ガンテ、サンテの関係性を表現されていたのが、とても叙情的で素晴らしい演出だと思いました。

私はこのシーンが、ドラマを通して1番好きです。
透き通るムニョンのドレスと艷めく髪が、心の美しさを表している。
お互いが、必要な存在になってゆく。
クーン、クーンと流した涙は、心の傘が受け止める。

傘は、ガンテとサンテと母親にも深く関係していましたよね。
母親がサンテばかりに気を取られるなら、ガンテは自分ひとりで傘をさせばいいのですが、そうするにはまだ、あまりに幼すぎて。

「サンテを守るために産んだのよ」
この言葉は重すぎる。(そのためだけに)という意味では決してないと、何度言い聞かせても付きまとって離れない。

でも母親も母親なりに、ガンテが濡れてしまったら心配していましたね。その愛は、彼には届いていたけれど…。
サンテと平等かそれ以上でないと。
その感覚が、私にはよくわかってしまいます。
平等な愛を信じたいんです。足りないと感じてしまうと、目に見えることばかり見てしまう。
器用になれるものなら、なりたいよ。

たとえ親子でも、兄弟でも、別々の人生がありますね。
「兄さんがいなければいいのに」と思ってしまったことが強い罪悪感としてガンテを苦しめますが、ただ愛に飢えていただけ。
冷えた身体を温めてくれることが当たり前であって欲しいと、願うだけ。

「ムン・サンテはムン・サンテのものだ。」

「ムン・ガンテはムン・ガンテのものだ。」

この台詞たちは、ドラマを通して強いメッセージになっていると感じ、"それなら、琴乃は琴乃のものだ…。"と、改めてハッとしてしまいました。

ガンテは"兄さんには自分がいなきゃ"と思い込むことで殻にとじこもれていましたが、サンテは弟なしで生きていけないとは1度も言わないし、思っていませんでしたよね。
いつも兄さんを頼れ、と。

終盤になってその一貫性に想いを馳せると、なんでもない所で泣いてしまう私でしたが(笑)、最後はふたりとも変わらない愛を抱いたまま、新しい関係性が築けるようになり、まじのガチの最強コマウォでした。(急に言葉のチョイスが)

いや、ちょっと、すいません。
サンテが母親に絵本を読んであげているシーンと、最後の兄弟ふたりのハグシーンを思い出して、いま泣いています…。

「幸せなのに なぜか涙がでてくる。」

サンテ役のオ・ジョンセさん、本当に丁寧で心のこもった演技でしたね。
彼自身の人柄については、下記で紹介させていただく記事の、助演男優賞を受賞された際のスピーチで少しわかりました。

2020年の百想芸術大賞;ドラマ部門の受賞結果・理由・コメントを翻訳して一挙にご紹介!

(ソウル在住ブロガーMisaさんという方の記事をリンクさせていただきます。)

すごく温かくて聡明なスピーチ。(椿の花咲く頃、まだ見てない!見る!)
私のことも応援してくれてるってことかなぁって…。
こんな方が、サンテ役を演じてくれて嬉しいです。心から。

自閉スペクトラム症に関してまだまだ勉強不足ですが、まずは私らしく接することと、どのようなサポートが必要かを確認することが大事なのかなと考えています。
少しずつ知っていけたら、と素敵なきっかけをくれたことに感謝です。
(ユニークライフというNetflixのドラマにも感謝しています。)

そして自閉スペクトラム症だけでなく、様々な人々の心や傷が描かれていましたね。
中でもPTSDについて触れていたシーンは、グッと身近に感じることが出来ました。
戦争は絶対になくすべき。戦争は、一度起これば、ずっと続いてしまう。

ラストで院長が靴のプレゼントしてたのも…涙。なんの責任もないのに、苦しみ続けなければならないって、あんまりだ…。
現実にも、あのおじちゃんみたいな人がたくさんいるんでしょうね。胸が痛みます。
あなたたちの責任でも、罪でも、ないんです…。政府の、です…。でも、苦しいね…。

人には、自分のままで受け止めきることができない傷を負うことが誰しもあると思います。
だから人それぞれ、自分を守るための盾を身につけるようになる。
それが内面的に現れるか、外見的に現れるか。

ムニョンにとっての盾は、黒い服と人を寄せ付けない"無"の表情だったのかもしれません。

そして彼女の作品のひとつひとつ、作り込みが見事でした。
孤独ながらに、世界との繋がりと向き合っていることがよく伝わりました。
制作陣、ほんとすごい…。

背負わなくて良い責任と罪を断ち切れて本当に良かった。
黒い服は、よく似合っていましたが…。

ムニョンの感情とファッションがリンクしているのも興味深く見ていられました。どんどん彩り豊かになり、白い服も増えましたね。

彼女の「ウワーオ。」が好きでした。笑

そしてムニョンとガンテの心の距離が縮まるにつれ、ふたりとも表情が豊かになっていくのを見ていて、恋の奥深さについて考えずにはいられませんでした。

加えてムニョンとサンテのじゃれ合い(笑)は、可愛くて仕方なかった〜〜!
髪を切って過去から解放されたムニョンに対して「何で切っちゃったんだろう…。」って!
緊張と緩和のバランスというか、辛い現実の中でほっと和む瞬間を与えてくれていたように思います。

ラストの「(絵本を読むのは)諦めて。」「やだ。」のやりとり、ニヤニヤがとまりませんでしたよ。
何度思い出しても愛おしい気持ちで胸がいっぱいになる。大事な作品だもんね。

この2人はまた、絵本の朗読会をしてほしい。打ち合わせは入念に、仲良くやってね!笑

家族ってやっぱり…良いものです。

「あなたにとって蝶はサイコパスでも、私たちにとっては治癒よ。」

この台詞も物語の要になっていると思います。
"私たち"というところが、強い。
「家族写真を撮ったら家族。」

血の繋がりだけが、家族の条件じゃない。家族だからと言って、人生を制限するのは愛じゃない。
子どもを個人として尊重することの大切さを強く伝えている。

トラウマを克服した先に本当の幸せが待っている、と希望を与えてくれるラストも、勇気をもらえました。
ーーー私たちはみんなどこか少しずつサイコだ。それで良いんじゃない?ーーー
とは演出家のパク・シヌさんの言葉。
私も人との違いを尊重し合いたいです。

私の人生は、私のもの。自分の可能性を信じて、これからも私が決めた前に進めるよう、一生懸命生きていこうと思います。

キャラクターひとりひとりについて話したいくらい、このドラマを愛しています!!
言いたいことはまだあるけど、この辺で。

宝物のようなドラマに出会えて良かった。

by kotono

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?