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生成AIと考えることばのみかた③: なぜその言葉でなくこの言葉?

今回も引き続き、生成AI (Gemini Advanced)を使って、昔書いた文章をNOTE記事用に、要約、編集してもらいました。

はじめに

前回は、システミック理論の基礎を紹介しました。この章では、システミック理論の中核概念の一つである「system(システム/選択体系)」を掘り下げて説明します。

「次元」と「原理」

システミック理論では、次元(dimension)という言葉で、ある観点が対象のどの側面を扱うかを表し、原理(principle)という言葉で、次元がどのように組織されるかを表します。

例として「本」を対象に次元と原理について考えてみましょう。

  • 本の次元:本の種類、内容、形式的な構成など

  • 本の整理の仕方(原理):本の形式的な構成における階層性(章→節→段落→文)

本記事では、システムという観点が言語のどの側面(次元)を扱い、それがどのように整理されるか(原理)を説明します。

ことばのシステムの次元

システムの次元は、言語の「可能性」を扱います。例えば、朝の挨拶には「おはよう」「おはようございます」「よっ」など様々な選択肢があります。

  • システムの次元 = 選ばれた選択肢 + 選ばれることが可能だった選択肢

この考え方をlanguage as potentialと呼びます。

なぜ選ばれなかった選択肢まで考慮するのでしょうか?それは、言葉の意味は他の言葉との関係性で決まるからです。「おはよう」と「よっ」の意味の違いは、他の選択肢があるからこそ認識できます。

ことばのシステムの原理:delicacy

多数の選択肢を整理するために、システミック理論ではdelicacyという原理を使います。これは、より一般的なものからより特殊なものへと選択肢を並べる方法です。

例:

  • 植物→木→針葉樹→松→隣の家の松

  • question→polar question(yes/no question), wh-question

システムの記述:システムネットワーク

選択肢の関係は、システムネットワークという記述法で表します。システムネットワークは複数のシステムから成り、システムにはbasic system(範列的選択)simultaneous system(同時選択)の2種類があります。

  • 範列的選択:選択肢aを選んだ場合、次に選択肢bかcのどちらか一方しか選べない(bかつcは不可)

    範列的選択の具体例:レストランでの注文

  • 選択肢a: メインディッシュを「パスタ」に決める。

  • 選択肢b: パスタの種類を「トマトソース」にする。

  • 選択肢c: パスタの種類を「クリームソース」にする。

    説明: メインディッシュで「パスタ」を選んだ場合、次に選べるのは「トマトソース」か「クリームソース」のどちらか一方だけです。両方を選ぶことはできません。これは、パスタの種類を1つだけ選ばなければならないという状況を表しています。

  • 同時選択:選択肢aを選んだ場合、選択肢bとcから1つ、選択肢dとeから1つ選ぶ

    同時選択の具体例:旅行の計画

  • 選択肢a: 旅行の行き先を「沖縄」に決める。

  • 選択肢b: 航空会社を「ANA」にする。

  • 選択肢c: 航空会社を「JAL」にする。

  • 選択肢d: ホテルを「ビーチリゾートホテル」にする。

  • 選択肢e: ホテルを「シティホテル」にする。

    説明: 旅行の行き先を「沖縄」に決めた場合、次に航空会社(bとcから1つ)とホテル(dとeから1つ)を選ぶ必要があります。これは、旅行の計画において、航空会社とホテルをそれぞれ選ばなければならない状況を表しています。

ちなみに、選択肢を選ぶための前提となる選択肢をentry condition、entry condition によって可能になる選択肢をfeatureと呼びます。

なぜこの考え方が重要か:虚像としての言語

システムという観点から言語を見ることの重要性を2つの側面から説明します。

  1. practicalな面: 言語表現を分類する際、重複する定義を避けるのに役立ちます。例えば…

    曖昧な定義の解消: 例えば、「名詞」と「代名詞」の定義が重複する場合、システムネットワークを使ってそれぞれの単語がどのような文脈で選択されるかを記述することで、より明確な区別ができます。
    言語学習の効率化: 新しい言語を学習する際、単語や文法をシステムネットワークで整理することで、学習内容の全体像を把握しやすくなり、効率的に学習を進められます。

  2. 概念的な面: 言葉自体に実体はないが、言葉同士の相対的な関係を捉えることで言語を研究できます。システムはこの相対関係を把握するのに役立ちます。

    比喩表現の理解: 比喩表現は、異なる概念を結びつけることで新たな意味を生み出します。システムネットワークを用いて、比喩表現に使われている単語が通常とは異なる選択肢と結びついている様子を分析することで、比喩表現の解釈を深めることができます。

    言語と文化の関係: 言語は、文化を反映し、文化を形成する要素でもあります。システムネットワークを用いて、異なる文化における言語システムを比較することで、言語と文化の相互作用を理解できます。

まとめ

本記事では、システミック理論におけるシステムの概念、delicacyの原理、システムネットワークによる記述方法について説明しました。システムは、言語を「可能性」として捉え、言葉同士の相対関係を理解するための重要な概念です。次回の記事では、structure(構造)という概念について説明します。


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