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英語が嫌いなフランス人と英語が苦手なスペイン人

よく、「フランス人はフランス語に誇りを持っていて英語はわかるが話そうとしない」だとか、「スペイン人はヨーロッパの中でも一番英語が苦手」なんて聞いたりしませんか?
あくまでもタイトルはステレオタイプの話ではありますが、実際、私もこの両者が会話をしている場面を見たことがありませんでした。
うすぼんやりと英語で話すのだろうか?と思いはするものの、どのように会話するのかずっと疑問に思っていました。

その疑問が解決したのは、クルーズ旅行中にマルセイユを訪れた時。
パリ以外のフランスはこれが初めて。
街全体から、バニラのようなナッツのようなあま〜い香りが漂っていてとてもロマンチックだったのを今でも覚えています。
小さな雑貨店やお菓子屋さんが数多くあり、女の子の夢が詰まった素敵な場所でした。

大きな窓がある香水店に惹かれふらふらと入店すると、早速フランス語で声をかけられます。
おそらく「Bonjour. Besoin d'aide」と、こんな感じに尋ねられたのだと思います。
(google翻訳を使いました。「こんにちは、手伝いが必要?」という意味です)
さっぱりわからなかったので、英語で返事をしてみましたが店員さんはさっぱり顔。
英語が通じずにどうしよう、と少し焦りましたが、クルーズ船が停泊中ですから、他にもフランス人以外の旅行者がいるはず。
彼らはどうしているのだろうと耳を澄ましてみれば、なんとスペイン人の客はスペイン語を話し、フランス人の店員はフランス語を話しているのです。

後々知ったのですが、語源が同じこの2言語は、ネイティブであれば半分くらいもう一つの言語が理解できるそう。
(どちらもロマンス語群で、この他にもイタリア、ポルトガル、ルーマニア、カタルーニャが含まれます。ルーマニアだけ少し地理的に離れているのが興味深いですね。)
それぞれ違う言葉を話しているのに、それでも意思疎通ができている場面を初めて目にしたので、それはそれは衝撃でした。

その後も文具店、チョコレート店、カフェなどなどを訪れましたが、確かに驚くほど英語が機能しないのです。
遠慮まじりに「英語話せますか?」と聞くと、ほぼほぼみんなが首を横に振ります。
さらに言えば、ちょっぴり嫌そうな顔をしている気さえします。笑

ダメもとで英語を話してみますが、チョコレート屋の店員さんは「わからないわ」とやや突っぱねるようなリアクション。

仕方なしに拙いスペイン語を話してみると、「あ〜こういうことかな?」と、少し考えたのちに意味を正しく理解し、リアクションを返してくれます。
しかも心なしか態度も柔和に笑


私はネイティブではないので、相手の言っていることが10%もわかればラッキーという程度ですが、確かになんとな〜くわかる。
さらに言えば、文字になるとより推測がしやすい。

この後、ポルトガルにも旅行に行きますが、ポルトガル語VSスペイン語はさらに言葉が近いらしく、これがまたびっくりするほど伝わりました。
みんな、「英語じゃない!?」と少しびっくりしてくれるので、イタズラが成功したような楽しさをちょっぴり感じていました笑

長いことスペイン人は英語が苦手と言われてきたそうですが、今の10代はしっかりと英語教育を受けてきた世代だそう。
バルセロナの中には、スペイン語、英語、カタルーニャ語で授業を行う学校もあり、高校を卒業する頃にはトリリンガルになる人も多いのだとか。
英語が得意になったスペイン人は、英語が嫌いであると言われているフランス人と今後どうやって会話するのか?
数十年後にまた確かめてみたいと思っています。

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