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奄美市長選挙、反与党側が勝った、などと思うなかれ

まずは安田さん、永井さん、どちらの候補者も、選挙戦お疲れ様でした。
どちらが勝っても市議会・県議会議員経験者なので議会運営などの心配はしていなかったのですが
私は今回の奄美市長選挙、先月の衆院選のデータとセットで考えるべきものだと思っていたので、とにかく数字が気になってました。(数学が苦手なのに)

これだけ言うと「何のこと?」と思われるでしょうから、今回の市長選挙と先月の衆院選からの数字で見ていきましょう。

まずは今回の奄美市長選挙の投票数と、それぞれの得票数を出します。
(データ参考:奄美市
投票総数…25,286人
安田壮平…18,100票
永井章義…7,055票

次に、先月の第49回衆議院議員総選挙における奄美市の投票者数及び比例区投票で各政党に投じた票数のデータです。
(データ参考:鹿児島県開票結果
投票総数…23,006人
【与党】
・自民党…7,728票
・公明党…5,950票
計…奄美市の有権者のうち13,678人が自公支持
【ほぼ確実に与党に入れない政党票】
・共産党…1,635票
・れいわ新撰組…854票
・社民党…475票
計…2,964
【立憲民主党やその他野党の政党票】
・立憲民主党…3327.428票
・日本維新の会…1,577票
・国民民主党…510.571票
・N党…290票
計…5,704.999票(約5,704票)

総数23,006-13,678-2,964-5,704=660票
(どこの政党にも入れなかった票数が660票)

この時点でもうお気づきの方いらっしゃると思いますが、10月31日の時点で自民党・公明党を支持していたのは奄美市内に13,678人いました。
が、11月14日に自公系市議12名の支援を受けていた永井さんが得票したのは7,055票。

永井さんの過去の得票数を見ると、2015年の県議会議員選挙の際に奄美市では6,481票の得票でしたのでそこから574票しか伸びていません。
くどい様ですが「奄美市議会議員22名のうち半数以上の自民党系・公明党系の与党議員12名」が支援して、です。
ちょっと不思議な票数ですね(棒読み)
せっかくなので前回の市議会議員選挙の、それぞれの議員別得票数もリンク貼っておきます。

ともあれ、自公支持してた13,678人-永井さんに入れた7,055人=永井さんに入れなかった自公支持6,545人という数字が出ます。

この6,545に
共・れ・社票…2,964
その他の野党票…5,704票
無党派…660票
を足します。
すると15,873人(A)という数字が出ます。
これに「前回衆院選に行かなかったけど、今回の市長選挙には行ったよ」という数字を加えます。
市長選投票者数-衆院選投票者数
25,286-23,006=2,286人(B)
(A)+(B)=15,873+2,286=18,159

今回の安田さんの得票数が18,100票でしたので、これで安田さんの得票の内訳が大体お分かりになるかと思います。

つまり、反自民の多くの市民が喜んでるような「与党にNOと言った!」「今までの政治から脱出できた!」訳ではないのです。だって安田さんの得票の中には「6,545票」という自公票が3分の1以上あるのですから。

なので「今まで通りの政治と同じ」とまでは行かなくとも、長期的な公約を実現させるためには二期三期と続ける必要性があり、さらに奄美群島の自治体の場合、国と連携必須の奄振予算の都合もあるので、左派の皆さんが期待するような「奄美市民の民意が示された!自公無視した行政しろ!」なんて乱暴なことはあり得ません。

あと直接関係ないとはいえ、今回の市長選挙は、朝日中学校の吹奏楽部の全国大会進出や、大島高校野球部の活躍など、偶然とはいえ「若い人のストーリー性」が見事に追い風となっていました。
まあ、政治家はそういう「時の運」も活かしてこそです。
久しぶりに誕生した40代の奄美市長ですので、90年代のゴタゴタした短期間の市長連発と報復人事合戦のようにならずに、しっかりと奄美市という船のリーダーとなり、前へ進めていってくれることを願います。

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