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チーズケーキにまみれたい【フードエッセイ】


バスクチーズケーキを頼めば
もふっとフォルムの生クリームに
ぐつぐつ煮込まれたフランボワーズが
お皿にあるのは嬉しい。

高温で焼き上げられたというのに
それに反するこの純白さ
滑らかな舌触りと
口いっぱいに広がるほのな酸味と甘味は
雲南の浅煎りコーヒーにとっても合うんです。

一乗寺の住宅街を歩けば
突如ポツンとあらわれる珈琲屋さん。
ここはかつて美術学校だったんだそう。

当時通っていた学校のクラスメイトと
恵文社で日記をテーマにした小さな本を買ってから
近くのワインイベントでふらりしてから
ほわ〜ってした気持ちで向かった。

重い扉を開けると珈琲の芳ばしい香りと
ぽつ、ぽつ、とした音楽が静かに流れていて
穏やかな空間に満たされた私は
雲南の浅煎りコーヒーと
バスクチーズケーキを注文した。

わたしのおやつの第二巨塔といえば、
今やバスクチーズケーキとプリンなのである。
とくにバスクチーズケーキ。
シンプルイズベストの中に
穏やかさと少しのギャップがある感じが
たまらなく愛おしいのだ。
だから今日も頼む。


ふとした瞬間に、
あ、あの子に会いたいって
ぎゅっと恋しくなるように
できるならバスクチーズケーキにまみれたい
この頃です。

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