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新製品YDS-120【ヤマハ デジタルサキソフォン】

サキソフォン(以下サックス)という楽器の運指そのものを模したデジタル楽器の新製品が5月に発売になるそうです。

サックスと消音の悩み

私はサックスという楽器を持っていて、今でも吹くことがあるのですが、サックスの練習をするにあたり、致命的な欠点がこの楽器にはあります。それは、完璧なミュート(消音器)がないこと。
なので近所迷惑なので家では音が出せません。練習場所に防音スタジオを借りる必要があります。音がデカく響くので、家では音をだしての練習はできません。

サックス以外の管楽器との差異

トランペットやトロンボーンといった他の楽器は、"ベル"と呼ばれる音が出てくる部分の穴を塞ぐと、ほぼ消音させることができます。
しかも便利なことに、ヤマハさんから消音しつつ、その小さな音をヘッドホンから聴くことができる製品"サイレントブラス"なるものが既に出ています。

でも、サックスはこれ無理なんです。
理由は簡単で、本体に穴が空き過ぎていて、ベルの穴以外からでも音が漏れるから。
やるには防音室に演奏者ごと入るか、楽器のみを覆う消音器"e-SAX"しか選択肢がありません。

このe-SAXという消音器は便利ですが、重い、動きが制限される、中が蒸れるという欠点を抱えているようで、特に蒸れは楽器にダメージを与えます。

デジタル楽器という選択肢

そんな中、新製品の発表をつい先日知ったのが、YDS-120という電子楽器。
本当のではなく、サックスと同じ運指(ソプラノ〜バリトンに対応)で演奏できる電子楽器のようです。

これは既に2020年に発売されているYDS-150の弟分らしいです。(まずこっちをそもそも知らなかった…)金属のベルが下から飛び出た、結構冒険してるデザインですね。。(音の振動が手から伝わるため感触が生の楽器に少し近いらしいですが、個人的にはデカくなるのは嫌なのでこの部分はなくてもいいですね。。一方YDS-120は軽量、ミニサイズ、電子楽器っぽさに割り切ってて良いデザインと思います。)

マウスピースという、口をつけて息を楽器に吹き込むパーツがあるんですが、ここが以前のYDS-150ではサックスのマウスピースを模した形をしていたのが、今回のYDS-120はリコーダーと同じような形状になったようです。

私はリコーダー形状のマウスピースの手入れがしやすいような気がします。(リコーダーが吹けるお子さんが遊ぶケースも想定してこうなったのでしょうか?サックスへの興味を持ちやすいかもしれませんね。)
手入れしやすいのは、毎日積み重ねると大きなタイムコスパに繋がるので、私は大歓迎で良い改良だと感じました。
実際本物のサックスのマウスピースって形や大きさが千差万別なので、YDS-150みたく中途半端に本物っぽくなくても問題ない思います。

生の楽器と、デジタル楽器の使い分け

私は生の楽器が好きです。
生の楽器は消耗品ながらも、部品にこだわると(つまり楽器屋で試奏しながらすこしずつ自分好みに部品をカスタマイズしていく)応えてくれるところに、良さを感じています。
(主にマウスピースやリード、リガチャーなどは無限の組み合わせができるので、いわゆる"沼"です。もっとこだわりのある方だと、ネジを違う金属素材のものにして響きを変えたり、熱や電気で楽器本体の響きを調整するような魔改造を施すケースもあります。)

生の楽器は、いわば生き物のようなもので、長年共にするとどう響くのかだんだん相手のことがわかってくるし、かと思えばへそ曲がりで全然いい音が出ない、なんて日もあって、楽器と仲良く喧嘩しながら少しずつ上達し成長することができます。

一方、デジタルは始めから"音色"に関しては成長はありません。サンプリングした音が出るだけですから、素人もプロも関係なく誰でも全く同じ音が出ます。その意味では音色の成長がなく、つまらないでしょう。
でも、家で消音して吹くことができないサックスだからこそ、ヘッドホンで音を聞きながら運指の練習ができるデジタル楽器の出現は、生の楽器の不満だった部分が埋められる唯一の方法だと思います。

あと20年早く製品化されていたら、もっと練習できたなと正直思います。練習特化型のツールとして、私はこれでいいと思いますし、早く試奏してみたいですね。
もちろん、普通に演奏用で持っていても良いと思います。特に、PCで多重録音にしてサックス4重奏を独りで作れたら楽しそうです!


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