7月、「白日夢」展によせて。

#白日夢展 、ありがとうございました!
23年6月に撮影した、お気に入りの写真を再構築した、展示でした。

モデルは佐野小波さん。


撮影時はコンセプトなどは決めず、ラフに
「シンプルな服装」「肌×瓶やグラス×人物」を撮りたいとお伝えしていました。現像は悩んでいた中で、小波さんに教えて頂いたティール&オレンジ。

https://x.gd/bXrB2

良き色…。
オレンジの補色が青緑色なのですね。結果、小波さんの綺麗な肌がめちゃめちゃ映えて、すごく綺麗な写真になりました。

見てくださった方に質問頂いた事をいくつかお答えしていきたいと思います。

私の展示レシピ(制作裏話)なので、もしかしたら蛇足かもしれません。映画のパンフレット気分で、お読みください✨


構成と素材について

展示構成を考える時は、
場所と動線から紙、写真を決めます。

今回の私の配置はここ。

エレベーターから降りて、
受付に来たら1番最初に見える場所。

どんな写真で迎えられたら心地よく「白日夢」の世界に入っていけるだろう、と撮影した写真を見返しておりました。私は何を見て欲しいか、感じて欲しいか。何に困っていて、何を好きで、見てくれる人に何を残したいのか。

自分が世の中に伝えたいこと。

人が好き。それぞれの物が持つテクスチャーが好き。小波さんの強い意思のある目と、奥行きのある内面が好き。最近悩むこと、人と人の繋がりの質量、希薄さ、その愛しさ。わたしのこと、あなたのこと。

そんな自分の内面を少し覗いてもらう展示がしたいと思いました。

最初に考えていた2パターンのレイアウト。
自己投影しやすい左を採用。
最終構成。
1枚目の構成から1枚変更しました。

タペストリーのプリントは
プリオさんにお願いしています。
素材はターポリン。なんだろう、ビニールシートみたいな素材です。サイズは1430mm×1030mmの変形サイズで作りました。

▼プリオさん ターポリン
https://www.oleshop.net/shopping/?pid=1422588872-194449&pcode=83

耐久力と撥水があって、屋外でも使えるターポリンを選んだのは、単純に使ったことのない用紙を使ってみたかったからですが、思ったより彩度がプリントされなかったり、明度が上がって、コントラストが落ちていたり、読めない用紙でした。

パイプ(塩ビ)も少したわんでたからアルミにすれば良かったね…横が長くて少し重いもんね…

でもこれはこれで「たわんだ質感が波のよう」「淡くて涼しげでいいですね」などのお声も頂いたのでチャレンジして良かったなと思います。

写真のセレクト意図


1.「私基準、印刷できる写真」か
2.「自己投影」できる写真か
3.「なんか気になる、考えさせる」写真か
4.「美しく、ずっと見ていられる」写真か
5.「他の写真とバランスが取れるか」

で選んでます。

今回の展示で使用した写真は、比較的私の中で長い時間、悩んで時間をかけて、葛藤して、現像して、生み出した写真でした。

あるあるだと思いますが、撮影は本当に楽しくてルンルンで帰ったら、PCで見た時に、全然ダメ。
あれです。

本当に、本当に悔しかったんですよ。
素晴らしい被写体さんがいて構図はイメージ通り、でもピントがあってない、暗いから潰れている、大きな印刷には耐えられない写真なんかも沢山ありました。

マジで泣きそうで。
こなみさんは美しく可愛くいてくれたのに、悔しくてモデルさんを「ちゃんと撮れるようになりたい、勉強したい」と思いました。その夏、色々考えてカメラを買い替えた理由の一つでもあります。(撮影時はX-T3、現在はGFX50SⅡ)


いやーーーーーーーでも小波さんが最高に綺麗で可愛くて、雰囲気もめちゃめちゃ良だったので、絶対どこかで使いたい!!!!って1年寝かせてました。

写真レシピ

「これなんですか?」「どうやって撮ってるんですか?」という質問を多く頂きました。基本はカメラの前に瓶やグラスを噛ませて撮っています。

「これどうやって撮ってるんですか」ナンバーワン。
グラス手持ち、カメラの前に噛ませる。
グラス範囲内に、被写体をボトルシップのように格納。
カメラ少し動かして流し撮り。
実寸B1 サイズでした。
水の中の小波さんが印象的で、
構図のアクセントになっていて面白いですね、と声かけてもらって嬉しかったやつ
プリントB2サイズ
これも好評でした。
お家に飾りたいって言ってくれた人がいて
とても嬉しかった
プリントB3サイズ
くつした可愛い!
下の瓶底写真と縦線を合わせて
配置しました。同じ要素をもつものたち。
プリント約B4サイズ
三角座り、膝の上に牛乳瓶のような花瓶を置いて、
上から撮らせてもらったもの。
自分の中を覗いている時、
視界ってこんな感じだなと思って
展示作品に入れました。
プリント約B4サイズ

ブックに入れていた写真抜粋

ブックに入れていた写真はどんどんプリントさんでプリントいただきました。A4です。

展示したかったけど
他の写真とのバランス見て外した
展示もしたかったけど
荒くて諦めた
顔が好き

悩みに悩んでギリギリにお話ししたにも関わらず、出展OKを頂きましたモデルの佐野小波さんには頭が上がりません…。本当にありがとうございました…!

タイトルの由来

・鱗

当初タイトルは白日夢の予定でした。

しかし、プリントが届いた際、ターポリンの紙目が轍のようにバツバツ…と見えて、「これ、鱗みたいだな」と思い急遽、タイトルを白日夢→鱗に変えました。

在廊していると、水の中にいるみたいだからですか?というお話しや、人魚姫ですか?みたいなお話しもあって、想像力を膨らませるタイトルにできたかなと思います。

測らずして国語の先生をやっている、という来場者さんに褒めて頂き嬉しかったです。
国語好きです。

・残像が胸を締めつける

ブックを作り終わった後、何か言葉を添えたいなと思っていました。

困ったらアレクサからランダムで曲を流すのですが、その時フジファブリックの陽炎が流れておりまして。「残像が胸を締めつける」という一節が、撮影時・撮影終わりの私の感情と「カチッ」とハマったので引用させて頂きました。

夏に合うのでよければ。


今後の予定


今年のカメラマンとしての写真展示は

9月 米澤はるか展「みらい」
10月 ゆるぽ展
11月 juicyfruits展

を予定しています。
よろしければお立ち寄りくださいませ。

ご一読ありがとうございました!
お心に残りましたら幸いです

櫻井 琴美


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