万葉集翻案詩:『純白の庭』
我が苑の 李の花か 庭に散る はだれのいまだ 残りてあるかも
(「万葉集」巻⑲・4140 大伴家持)
『純白の庭』
我が家の庭一面に
敷き詰められている
あの白は何の色だろう
小さな李の花びらか
それとも
いまだに消え残る
綿毛のような沫雪(あわゆき)か…
今、目の前にある
一幅の絵のような
純白の庭を眺めて
この心に取り込もう
恋に燃えた心さえ
白になる
この純真な美しさを…
夕暮れ時の庭
はらはら降る涙の向こうに
遠い日に憧れた
あの人の面影を見た
【メモ】
大伴家持が越中国守(今の富山県知事)として富山県に赴任していた時に詠んだ歌です。巻⑲冒頭の「桃の花」(4139番歌)とセットで桃の歌として載っている「すもも」の方の歌です。
桃の“紅“に対し、すももは“白”の彩りの組み合わせとなっています。
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