家に有る
櫃に鍵さし
収めてし
恋の奴が
つかみかかりて
(「万葉集」巻⑯・3816)
穂積皇子
『いつの間にか』
家にある大きな箱に
鍵をかけて
もう出られないように
入れておいた恋の奴
どうやって抜け出したのか
いつの間にか
私の心に つかみかかってきた
抑えつけても 抑えつけても
いつの間にか顔を出し
私の心に つかみかかってくる
恋の奴
こいつが現れると
また彼女の事を
想い続ける日々が始まって
いつの間にか
心、全てが
彼女色に染まってしまうんだ
【メモ】
万葉集には、作者の穂積皇子が酒の席で気分が乗ってくると、
きまってこの歌を口ずさんだとあります。
#万葉集 #詩 #万葉集翻案詩