夜になるとお父さんが部屋に来る。
寝ている、正確には寝たふりをしている私の体を触りにくる。
嫌だけど、目をあけてはいけないと思っていた。
胸を触られるだけだからと我慢していた。
母に言ったら大変なことになるとわかっていたし、そうじゃなくても仲の悪い父と母が、自分のせいで離婚してしまうんじゃないかと怖かった。
虐待されていた期間はたぶん5か月くらいじゃなかったかと思う。
私が中学1年生の8月に決定的な出来事があり、このままだと犯されてしまうと怖くなり、母に虐待のことを告白したのだった。
私の話を聞いた母は今までに見たこともない驚いた表情を浮かべて、それはすぐに怒りに変わった。
これで助かったと思った。
もう父が来る時間に目が覚めることはないし、寝たふりをしなくて済むんだと思った。
隣で寝ていた弟を必死になって起こさなくてもいいんだと。
1歳違いの弟は、いくら揺さぶっても起きなかったのだけど。
でも、本当の地獄はここからだった。
母に、「これからもお父さんと一緒に暮らしてほしい」と言われたからだ。
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