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優しくて少し寂しい夢【オカルト?】

5月初めに見た夢のお話。

明晰夢をよく見るのですが、この夢は普通の明晰夢とは少し違いました。
私は私自身ではなく、一人の初老の男性の体験を一緒にしているような、一人称映画を見ているけれど、何もかも自分の感覚として体験できる4DXのような夢でした。

よく晴れた日でした。
清潔感のある広い部屋にベッドが一つと、棚やクローゼットのような衣服が多めに入るような収納。
その初老の男性は入院を長いことしているようでした。ベッドの側の棚には花瓶があり、そこには生き生きとした綺麗な花束が挿してありました。
男性にはその部屋がどうしても広く感じていました。一人ベッドに座り「寂しい」なんて感じてもいました。
男性はその部屋を出ることが出来ずにいるようでした。
そんな中、部屋のドアが開き娘夫婦がお見舞いに来てくれました。
まだ綺麗に咲いているのに、また花束を買ってきて。
「お父さん元気そうで良かった!」なんて明るく話して、娘婿さんも「顔色も良さそうで!」と明るく笑って言ってくれました。

初老の男性は複雑な気持ちでした。
その言葉が嫌だったとかでは断じてありませんでした。
明るく娘夫婦と会話しているのですが、その一方で「この子達に何もしてやれなかったな」や「もっと一緒に居たかったな」など、自分の娘夫婦に対しての未練や申し訳無さなどの感情でした。
前にネガティブな事を口にした時、娘から怒られたという記憶があるから男性はそのような言葉を口にはしないよう気を配っていました。

娘が新しい花瓶と花束を持って部屋を出ていったところ、男性は娘婿さんに「何にもしてあげられなくて、ごめんねぇ。
 あの子の事よろしくお願いしますね」
そう言って、申し訳無さそうに笑っていました。
「そんな!やめて下さい!今生の別れみたいな言い方!」
娘婿さんはそんな風に慌ててしまい、困らせてしまいました。
とても優しい方のようで、「また困らせちゃったね」なんて男性は言っていました。

その後娘さんが戻ってきて大きな花束が活けてある花瓶が2つになり、「このままだと溢れかえっちゃうね」なんて雑談しながら、娘さんは引かれていたカーテンを開け「いいお天気なんだからカーテンぐらい開けなよ」と窓を開けていました。

暫く談笑を続けていたのですが、その間も男性の胸の中の片隅には楽しさと同じぐらいの寂しさと無念がありました。
どんな話をしていたのか、詳しい話はわかりません。
長い間娘夫婦は居て色々な話をしてくれました。なんとなくですが、わかるのは来れなかった男性の孫の話でした。「そろそろ帰るね」と娘が立ち上がり、「また来るからね」と夫婦揃って笑顔でまた来ることをいつもと同じようにしてくれました。
「昔から明るく優しい娘だった」そんな風に男性は懐かしんでいました。

しんとした部屋の中がまた広く感じました。
「あぁ、まだ幸せなあの子達を見ていたい」「何もしてあげれなかった」
悔しさと未練が胸の中でグルグルして、男性は今にも泣き出しそうでした。それを噛みこらえて、抗えない死を受け入れていました。
あと数日の命。2日後には死んでしまってもおかしくないと感じていました。
男性は家族をとても愛していました。娘夫婦も孫も。もちろん先に旅立った奥さんの事もとても大事になさっていました。

大事だからこそ、抗えない死が辛くて苦しい。
男性は言葉にできない気持ちを抱えてまたベッドに座っていました。


夢はここで終わりです。
いままで体験したこともない、優しくて温かく、少し寂しくなってしまう、とても胸が張り裂けそうになる、夢と片付けるには物悲しい夢だったので綴らせてもらいました。
談笑しているときの優しい胸が暖かくなる感じや、窓から入る柔らかい風なども印象的でした。

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