いいこと日記

　朝食前に日記を書く。朝のうちに前日のことを思い出しながら文字を書くのは脳の活性化にいいと聞いて、それまでより20分早起きするようにして始めたことだ。この頃ようやく習慣になってきたように思う。

　もちろん書くのは事実ばかりなのだが、なるべく良いことを書くようにしている。反省すべきことは反省するが、朝から後ろ向きになってはいけないとも思うからだ。

　さて、昨日の良かったことは……

　朝の寒さがやわらいできたこと。朝食をおいしく食べられたこと。歯医者がすいていて治療がすぐに終わったこと。道すがら見た桜が美しかったこと。昼食のラーメンが不思議な味で驚きつつ味わったこと。午後には夫婦で家中をピカピカに掃除できたこと。それを妻が喜んでくれたこと。種蒔きをした野菜が芽を出したこと。散歩中の近所の犬が嬉しそうにすり寄ってきてくれたこと。子どもたちの賑やかな声が家の前の通りを過ぎていったこと。夕焼け空が鮮やかで綺麗だったこと。風呂が気持ちよく、身も心もほっとしたこと。夕食の野菜炒めが絶妙なうまさだったこと。食事をとりながら見たテレビの軽妙なやり取りがおもしろかったこと。食後の英会話の勉強がはかどったこと。就寝前に読んだ本が非常に興味深かったこと。心地よい布団で安心して眠れたこと。

　そして今朝もまたすっきりと目覚めたこと。

　書き終えた日記を読み返して、ふうっと息を吐く。なんてことのない日常だが、こんな小さな良さを重ねていけたら嬉しいと以前にも増して思うようになった。同時に、日常は決して当たり前のことばかりではないのだとも思うようになった。

「さて」

　と声に出して日記帳を閉じる。

　昨日は休みをもらったが、今日はしっかり仕事をせねば。

「仕事が絶好調だったこと」と明日書く日記に記せますように。