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安心してしょんぼりしていいよ

テンション低くてもいいよ

先日「仕事が休みになってから、職場という集合意識から自分が外れてしまったように感じ、職場に対してモチベーションが下がってしまった」とnoteに書いたことが、何日か尾を引いていた。

そう感じたことも、それを書いたことも、申し訳ないと感じている訳ではない。今は今の気持ちを書いておきたいから。
だけどなんとなく気にしてしまっていたのは、働き始めてからの半年弱の間に、職場とそこで出会った人達のことを好きになっていたからだと思う。
好きだけど、今は向かっていく元気(心の元気)がない自分にモヤモヤしたのだ。

今の職場は、これから何かを始めようとか、世の中をもっと楽しくしようとか、さまざまな人と出会って成長したいとか、そんな人々が出入りし、エネルギーが常に動いている場所だ。そういう人のエネルギーに触れられることがここで働く醍醐味だと感じているけれど、そこに身を置くには、自分のエネルギーもたくさん必要になる。少なくとも私にとっては。

心が元気のない状態の自分では、そこに行ける気がしない。そして思考は飛躍して、もう東京から離れて自然のたくさんある場所で半分自給自足の生活をできないだろうか…と考えたりしていた。(自給自足がどこまでできるかは分からないけど、もっと自然のある場所での暮らしはいつかしようと密かに思っています)

4月の終わりに職場スタッフのオンライン飲み会があったときも、こんな状態だから顔を出すか当日まで迷った。けれど当日の朝にトイレに行った時にふと「参加してもいいかも、参加しよう」と思い参加した。
やっぱり元のテンションにはなれなかったものの、久しぶりに仲間の顔を見て、完全にシャッターを降ろさなくてよかったと思った。

万全の自分じゃないと人に会う仕事ができないだなんて、そんな0か100かみたいに考えなくていい。日々のテンションはもっとグラデーションがあっていい。
そう自分に言い聞かせる。

そうだ、これまで接客業をしてきて身につけた、調子がわるいときも人前に出るためにとりあえずできることは「口角を上げること、背筋を伸ばすこと、深く息を吐くこと」だ。今思い出した。
少しくらいテンションが低くても、できることはある。
それでもダメなら少し休めばいい。
よくもわるくも今はお休み期間なのだ。色々ゆっくり考えればいい。そういうことにしておこう。

心がぱかーっとなってもいいよ

ところで、テンションの上がらない自分、落ち込んでいる姿、そういったものを見せられる相手がいるのはいいことだなぁと思う。
そういう相手は家族レベルの仲とも言えるのかもしれないが、逆に家族ならそういう姿を見せられるのかというと、必ずしもそうではないことに気づく。
「家族」に苦しんでいる人もいる。家族が好きという人でも、好きだから心配かけぬように気丈に振る舞うなんてこともあるのだろう。

自分の弱い姿を見せられる誰かがもし浮かばないとしても。
人じゃなくてもいいのかもしれないとも思う。

最近、きょうだいのバンドの曲を思い出して口ずさんだりしていた。
私には兄が二人いて、どちらもバンドをしているのだが、その曲とは上の兄とその連れ合い、つまり私の義理の姉のバンドの曲である。

その曲をライブで聴いたとき、私はしょんぼりした気持ちになったのを覚えている。悲しい曲ではない。悲しいとか、一言で表せる気持ちを歌った曲ではなかった。時の流れや周りと自分の変化にどこかさみしさや不安を感じながら、どうしていいかわからないけれどなんとか立っていて、明日も無事に夜が来て眠れますようにっていう気持ち(朝が来ますようにじゃなく、夜が来て眠れることを祈る歌詞だった)。強烈に残るような感情ではなくて、日々の色々なことに追われていつの間にか忘れてしまうような、前に進む前に一瞬ためらうような気持ちを歌った曲だった。(と、私は感じた)

しょんぼりしながら演奏を聴いて、「あぁ、私は今安心してしょんぼりしている」と感じた。きょうだいのライブだということも関係あるのかもしれないけれど、音楽や何かの表現が、普段は表に出さない感情を引き出してくれることがある。私はそれを「心がぱかーっとなる」と呼んだりしている。

心をぱかーっとさせる音楽は、その感情に寄り添ってくれる。
音楽だけじゃなく、映画だったり本だったり、絵だったり踊りだったり。何でもいいのだろう。自分だけが知ってる、心に寄り添ってくれる存在。

そんな存在があれば、抱えきれない感情を持て余すことも、誰にも言えないことで孤独を感じる夜も、少し怖くなくなるんじゃなかろうか。
そして、どんな表現も、その先に誰かがいる。その表現をした人がいて、おんなじようにその表現にぐっと来た誰かがきっといる。

そう、私達は誰も、一人だけどひとりじゃない。


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