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すべてはよきタイミング(かも)

ちょうどいいタイミングで、ちょうどいいものが目の前にあらわれることがある。

それは欲しい欲しいと願っていたものの場合もあれば、目の前にあらわれた途端に「そういえば、これが今あるのって嬉しいな」と気づく場合もある。
今回のコロナ渦の中で、そんなできごとが幾つか続いている。
ざっと書いてみると、こんな感じ。

・東京都が最初に外出自粛を呼びかけた週末の前日・金曜日のこと。仕事から帰りアパートの郵便受けを見ると、奈良県山添村産のほうじ茶のティーパックと柚子ジャムが届いていた。
これは以前、山添村を拠点とした「縁側のような空間をつくり、村のおばあちゃんの手仕事を残したい。」というプロジェクトのクラウドファンディングを応援したリターンの品だった。山添村に移住した友人を通して昨年末あたりにこのクラファンを知り、ぐっと来るものがあったので支援に参加したのだった。

・その数日後、実家にいる母から手作りの布マスクが届いた。手持ちのマスクがもうすぐなくなるから自分で手作りしようかな、と思っていたところだった。

・さらに、緊急事態宣言により職場である施設が休館になることが決まり、自粛生活が始まる前日のこと。職場でお世話になっているマネージャーの一人が「好きそうだと思って」と本を譲ってくれた。その直後、「繋がる本棚」という、蔵前にあるお店「自由丁」のプロジェクトを通して、読みたいと思っていたマンガを手にすることができた。読み手から読み手へ本が、そしてその本への想いが繋がっていくプロジェクトで、そのマンガの「以前の読み手」も仕事でお世話になっている人だった。

クラファンのリターンは大体いつ頃届くかは決まっているし、マスクについては母に電話で「あと少しでマスクなくなるから自分で作る」と話してあった。けれど、家にこもる前日に、家でゆっくり過ごすのにぴったりなお茶や手作りのジャムが届くなんて。私が自分で作るより先にマスクを届けてくれるなんて。本も、1冊ではなく数冊まとまって、自粛生活の前日にやって来るなんて。

この3つのできごとがほんの数日間に起こったことはとても印象的で、自分を助けてくれる人や、何か自然の流れや力のようなものの存在を感じた。
そして、自分も少しでもできることをして何かよい流れを作りたいような、自分がもらったものを別の形で誰かに届けたいような気持ちになった。
(そう、自粛生活の中で気持ちは上がったり下がったり揺れ動いているけれど、始まりはこんな気持ちだったのだ。)

具体的に何をすればいいか、何ができるか分からなかったけれど、「#今日のフェルト絵」を制作してSNSに投稿することはここで思いついた。自分のチャレンジしたいことを勝手に決めて勝手に取り組んだだけだけれど、タイムラインに様々な情報が流れる中、目にした人の心がふと和むものにできたらいいな、という想いもあった。

気づいたら自粛生活が始まってから1ヶ月が経ち、フェルト絵を29個作ることができた(1ヶ月のうち1日はお休みしました)。1ヶ月を区切りにこの取り組みは一旦おしまいにし、今は、創作することにおいて次のフェーズへ移行しようとしているところ。(具体的には、どうやって人様に届けられるか、「商品」にするには?の方法を考えるなどしています。何か決まったらお知らせします!)

実は、フェルト絵の土台にする布が手元に少なくなってしまっていたので、そろそろ通販での購入を検討していた。しかし先日、普段使わない沿線の駅前の商店街に昔ながらの小さな手芸店があるのを思い出した。あの辺りなら歩いて2~30分で行ける。お休みしている可能性もあるが、散歩がてら行ってみることにした。
手芸店は営業しており、店先にはカット済のコットンの生地がたくさん並べられていた。色とりどりのプリントの生地の横に白い生地も「ダブルガーゼ入荷しました」の手書きのポップと共に置いてある。おそらく手作りマスク需要のために入荷したのだろう(そしてカット済なのはお客さんが何mと迷わずすぐ買えるようにだろう)が、偶然にも私がフェルト絵で使うことが今のところ一番多いのは、生成りのダブルガーゼだ。ありがたく1枚購入した。

さらに、つい昨日の食材買い出しからの帰り道。近所のとある建物の前に小さなワゴンが置かれ、その中にはなんと、ハギレが3種類くらいずつ詰め合わされたビニール袋が並んでいた。しっかりした織り柄の生地の詰め合わせもあれば、夏らしい薄物の詰め合わせもある。こんなところになぜ布が?ワゴンをよく見ると「カーテン生地のサンプルの切れ端です。ご自由にお持ちください!ご家庭での手芸用などに」との張り紙がしてあった。しかも「アルコール除菌済」とある。
その建物はカーテンを扱う会社だったのだ。「おうち時間」にクラフトをする人が増えていそうな状況を見て、できることを、あるものを差し出してくれたのだろう。ありがたく、これからの季節に使いたいと思っていた透け感のある生地の入ったセットを1ついただいた。

こうして、ちょうどいいタイミングで必要なものを受け取っている。
自分で気づいているだけでもこんなにあるのだから、気づかないまま受け取っているものもあるんだと思う。
たとえば、あたりまえのように感じている日差しのあたたかさとか、風の気持ちよさとか。誰かがくれる何気ない言葉だったりとか。

いつもこんな気持ちでいられる訳じゃない。落ち込んで悪い方向にばかり考えてしまったり、ふてくされるときだってある。だけど、今は感謝の気持ちを感じられているのだから、何度忘れても何度でも思い出せるようにしたい。そしてまた、私もできることを誰かに差し出して、循環させていきたいと思う。

* * *
さいごに。
文中に登場する蔵前の「自由丁」は現在、お店存続を掛けてクラウドファンディングに挑戦中です。私もこれから参加しようと思っています。
ささやかながら、こんな素敵な場が続いてほしいとの想いからリンクを貼らせていただきます。
https://motion-gallery.net/projects/letter_stand

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