はんなり麗しのご褒美時間を「金毘羅茶店」
「金毘羅茶店」は金刀比羅宮の裏参道のほど近くにある、四季の彩を楽しめる茶店です。
季節ごとに変わる美しいスイーツに魅了され、琴平町外からも多くのお客様で賑わっています。
どこかで活躍されていた有名な方のお店なのだろうか?
それとも、修行してこられた方?
様々な妄想が膨らんでくるほど魅力的な「金毘羅茶店」オーナーさんにお話を伺いました。
女性性が開く場所
季節ごとにオーナーによって考案されるメニューはどれも素敵で、花鳥風月を愛でる日本人の美意識を再認識させられます。目の前に現れた美しい一品を前にしていると、自分が日本文化に育ち生かされてきたことに気付かされます。そして、とても豊かで誇らしいような気分にまでなってくるのです。
それは、きっと自分へのご褒美として「金毘羅茶店」さんからのギフトを受け取っているからなのでしょう。
エネルギー切れのときに美術館に行くと元気が出てくるように
思わぬときに好きなタイプの花束をもらったときのように
まさに、自分へのご褒美です。
何か落ち込むことがあったり、迷うことがあっても、ここへ来れば回復して、ポジティブな状態に戻れそうです。
意外なことに前職は会社員
三豊市出身のオーナーは、結婚して琴平町に嫁いで来ました。主婦の傍ら、設計などのデスクワークをされてきました。
家事はどちらかというと苦手意識がありました。お菓子作りが大好きだったかというと、そうでもなかったとのこと。
それなのに、素晴らしい作品を生み出し続けることができるのは、どういうことなのでしょうか。
世間には、趣味が高じて喫茶店やカフェを始めた方は多くいらっしゃるでしょう。
もしくは、昔からの夢を叶えてオープンした等々。
金毘羅茶店のオーナーさんにはそんな気構えはなく、嫁ぎ先のご自宅の離れを使って「何かしたら?」とご家族にすすめられたのがきっかけだったのだそう。
自分も1人でカフェでゆっくりすることが多く、1人でも来られる場所を提供しようと思ったから。
そして、オープン当初より通われている常連さんからいただくアドバイスを参考に、メニューや味の調整と改善を続けてこられたそう。
これらのエピソードだけを並べてみると、どちらかというと受け身で、人の意に添うようなあり方に受け取れます。けれど提供されるメニューからは、華やかで誇り高い気配が漂ってきて、そのギャップに驚くほどです。
それは、もしかすると多くの日本女性に共通するところなのかなのかもしれません。自己主張はあまりせず、自分よりも他人を優先することが美徳とされる文化に私たちは生きているのです。
内在していた本来のワタシ
40代を迎えると、やるべきことを周囲の期待に応えることを優先してきたようなところから少し意識が離れてきて、それまでとは違った考え方ができるようになると言われています。
本来の自分を表現していく人も多いです。
たとえば物静かな人ほど内側で広がる世界は広く、豊かなイマジネーションをもっている。
けれどそれを表現する機会がなければ、誰も知るよしもありません。
そうして、内側で大切に守られ温められてきた卵が鳥に羽化したのが、いまの金毘羅茶店なのかもしれません。
シャイで、芸術が好きで、人をもてなす空間作りが好きなオーナーさん。
茶店を開いた直接のきっかけは、ご家族のすすめだったり、ご自身がカフェが好きで1人でも入れるような場所ができたらいいなと思ったりしたことだった。
それ以上に、オーナーさんの中で芽吹き花が開くのを待っていた、鮮やかで華やかな世界がそのようなキッカケを待っていたように思えます。
それは、何かのきっかけで外に出たがっていた。
強い信念や思いに突き動かされた何か、というよりも1人の人間の自己表現の結果、素晴らしいものが生まれ、それがたくさんの人々を喜ばせるに至っているのではないか。
まさに「女性性が開かれる」という感覚そのものなのかもしれません。
内側の想いが、あるとき外に向かいはじめ
いったん溢れだすと、次から次へと広がっていく。
そんな女性性の豊かさは、誰にでもあり、「開花するいつか」を待っている。
「金毘羅茶店」の数々の作品は、そんな自己表現の一種であり、その美意識の高さが人を魅了している。
その姿に共感し、癒され、元気をもらい、人生を肯定する気持ちが高まっていく。
好奇心や向上心を持ち続けて、創作を続けている「金毘羅茶店」は、裏参道で訪れる人たちにパワーを与え続けることでしょう。
そして、どこかで外に出たがっている自分に気づいている人にも、灯りをともしていくことでしょう。
お店の詳細
華麗なる非日常の世界へようこそ。
文:松原
写真:高橋・王・松原
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