何も言えなくて
何も言えなかった話。
俺が20代の頃の話だ。
当時、仕事絡みで知り合った同年代の女性がいた。俺とその人との間柄は、ま〜友達といったところであった。勿論、当時の俺に「あわよくば」とゆ〜気持ちがなかったわけではなくもなくもなくもない。
その女性はなかなかに聞かせるトークをぶち込んでくる人だった。俺は何度もその女性に唸らされたものである。
何となくだが、その女性は俺を話し相手として面白がってくれていたよ〜な気がする。
ある日、その女性がこんな話をしてきたのだ。
「デキる男は『AERA』を読む。デキない男は『週刊プレイボーイ』を読む。そんな話を以前に聞いたことがあるのだけど、なるほどなと思った。『AERA』でなくても、例えば『日経 TRENDY』とかを読んでる人の方がデキる男って感じがする。それに比べて『週刊プレイボーイ』を愛読してる人ってホントないかなって思う。」
そんな内容だった。
そう。
俺は10代の頃から『週刊プレイボーイ』を愛読していたのである…
何も言えなかった。
事実だなって思った。
真理だなって思った。
現在の自分自身を客観的に見て「確かに」って思った。
現在の自分自身を俯瞰的に見て「だよね」って思った。
事の本質を突いた話だなって思った。
事の本質をあまりにも突いていたので、その場から消え去りたかった。
透明な存在になりたった。
透明になって悠久の時をたゆたくなった。
もう、誰でもいいからハグしてって思った。
神様、どうか憐れな僕にキスしてって思った。
でも、逃げなかった。
ここで逃げたら負けだと思った。
だから、
だから、立ち向かうことにした。
そして、立ちすくんだ。
何も言えないまま立ちすくんだ。
何も言えないまま、俺は、立ちすくんだのだ…
ええっ! ホント〜ですか。 非常〜に嬉しいです。