ポリオ(急性灰白髄炎)

ポリオ、または急性灰白髄炎は、主にポリオウイルス1~3型の糞口感染によって伝播する2類感染症です。このウイルスは人体内に侵入し、下位運動ニューロンを障害することで弛緩性麻痺、つまり四肢の不可逆性麻痺を引き起こします。重症化すると呼吸筋麻痺を引き起こし、生命に危険を及ぼす可能性があります。

ポリオの特異的な治療法は存在しないため、対処療法が中心となります。これは症状の緩和や患者の生活の質の向上を目指すものです。重症例では呼吸筋麻痺を引き起こすこともあるため、呼吸支援やリハビリテーションなどの治療が必要になります。

予防策としてはポリオ含有ワクチンの接種が重要です。日本では定期接種として、生後3ヶ月から一定期間を空けて4種混合ワクチンを計4回接種します。この4種混合ワクチンには、ポリオウイルスに対する免疫を高める成分が含まれています。また、任意接種として、抗体価が減衰すると考えられる就学前に5回目のポリオワクチンを接種します。

専門医への相談や診断では、海外渡航歴を含む患者の病歴が重要となります。特にポリオがまだ存在する地域への渡航歴がある場合、ポリオの可能性が高まります。したがって、旅行歴や接触歴を詳細に医療スタッフに伝えることが重要となります。