全身性エリテマトーデス① 112AM94

A さん(28 歳、女性、美容師)はゴルフが趣味である。同居しているパートナーと 1 週前にゴルフに行った後から、顔面の紅斑、微熱、全身倦怠感および手指の関節痛が現れた。病院を受診したところ、全身性エリテマトーデス(systemiclupus erythematosus)〈SLE〉と診断され入院した。A さんは看護師に「これまで病気をしたことがなかったので、驚いています」と話した。
バイタルサイン: 体温 37.4℃、呼吸数 18/ 分、脈拍 64/ 分、整、血圧110/60mmHg。
血液所見: 赤血球 260 万 /μL、Hb9.0g/dL、白血球 7,600/μL、血小板 18 万 /μL、尿素窒素16mg/dL、クレアチニン 0.8mg/dL、CRP0.7mg/dL、直接 Coombs〈クームス〉試験陽性。
尿所見:尿蛋白(-)、尿潜血(-)。
神経学的検査:異常所見なし。
12 誘導心電図:異常所見なし。
胸部エックス線写真:異常所見なし。

A さんに生じている可能性が高いのはどれか。
1.心膜炎(pericarditis)
2.溶血性貧血(hemolyticanemia)
3.ループス腎炎(lupusnephritis)
4.中枢神経ループス(centralnervoussystemlupus)

正解 2

解説

全身性エリテマトーデス(SLE)は、自己免疫疾患の一種で、免疫系が自分の体を攻撃してしまうことで、さまざまな臓器に炎症や障害を引き起こします。SLEの症状は患者さんによって異なりますが、一般的には発熱、全身倦怠感、関節痛、皮膚の紅斑などがみられます。

Aさんの場合、顔面の紅斑、微熱、全身倦怠感および手指の関節痛がSLEの典型的な症状です。

  1. 心電図や胸部エックス線写真では異常所見がないことから、心膜炎は否定的です。

  2. 血液検査では赤血球やヘモグロビンが低下しており、直接クームス試験が陽性であることから、溶血性貧血が起こっている可能性が高いです。溶血性貧血はSLEの合併症の一つで、赤血球に対する自己抗体が作られて赤血球が壊されることで起こります。

  3. 尿検査では尿蛋白や尿潜血が出ていないことから、ループス腎炎は合併していないと考えられます。ループス腎炎はSLEの重要な臓器障害の一つで、免疫複合体が腎臓に沈着して糸球体腎炎を引き起こします。

  4. 神経学的検査では異常所見がないことから、中枢神経ループスは生じていないと考えられます。

以上のことから、Aさんに生じている可能性が高いのは「2.溶血性貧血(hemolyticanemia)」です。