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僕の学校都会の子供も 楽しく通える小学校


#こんな学校あったらいいな  都会から離れたら田舎町にこの学校はあります。田舎町と言いましても、山奥にあるわけでもなく、夜のきらびやかな灯りの灯る場所の近隣に、あるわけでもないのです。丁度、まん中に位置した地域にあるコウタの通う学校のお話です。今朝も元気良く家を飛び出すコウタ。「いってきま~す!」「はいよ~!いっておいで」いつもと変わらない朝です。変わっていると言えばそれはひとつだけ。自宅で飼っているリスと一緒にコウタは学校へ出掛けました。家では口数の少ないコウタなので、今朝も黙ったまま、外へ連れ出す為のかごへ、リスのポンチを入れていました。コウタはリスのポンチと学校への道を歩いては立ち止まり、また歩いては立ち止まって、ポンチと片言の言葉で話をしていました。「ポンチ、…今日…は、ポンチともう…少し上手く話す、…ための勉強のある…日」そうなんです、リスのポンチと話す言葉を勉強する授業のある日です。「ポンチあと少しで学校だよ」ポンチへではなく独り言でした。ようやく学校に着いたコウタの向かう場所は、コウタのように家から生き物を連れて来た子達の居る部屋。授業の来るまではその部屋で過ごしています。休み時間に児童達は自分の連れて来た子達のいるかごへ。お水やエサの世話をします。けして先生や人の手は借りません。「おはよう」既に到着している子達へ挨拶をしました。コウタの挨拶を聞き入れられた子達は、各々の言葉で挨拶をやります。コウタにはさっぱり分かりません。その部屋を出ると自分の教室へ駆け出しました。「おはよう!今日は楽しい動物語の授業の日だ。みんなは誰を連れて来たの?」「おはよう。僕は蛙だよ。最近、生まれたんだよね!まだ、蛙の言葉は教わっていないから、教わろうかと思って。色々と聞いてみたくてさ。」「そうなんだ。蛙さんを連れて来たんだね。僕はリスのポンチ。ポンチという名前なんだ、可愛くて仕方ないんだ。名前は家族み~んなで付けてあげたんだ。家族になって一緒に暮らすわけだから、みんなで決めたんだ。家族会議というやつかな。」「ポンチというんだ。この前の授業にも連れて来てたよね!今日もポンチなんだ!」「うん!リス語は難しいから今日も連れて来た。たくさん覚えて色々おしゃべりやりたいんだ。リスのポンチは僕と一番の仲良しだから。家族に食事をもらってもあまり食べない。食べたくないのかな?思って僕からあげてみると、『エッ!食べれるの、食べたいの?そんなに食べたら食べ過ぎだよ!』びっくりするほど食べるんだ。『僕を一番好きなの?』聞いても返事はないのはあたり前だよ。リス語じゃないからさ。だから今日もポンチというわけ。」そろそろ一時間目の授業の始まりだ。」丁度その時、扉を開けて教室に入って来る先生の姿を見ると、慌てて自分の席へ座る児童達。この地域の小学校には、珍しい特徴を持った学校ばかりあるのです。都会の学校では考えられないような学校ばかりあるので、この地域に暮らしている子供達は、それぞれ好きな学校を選らび通っています。児童の中には都会に暮らしていた子供達で、ここの学校に通うために家族ごと引っ越して来きます。引っ越して来た家庭の人達に大変喜ばれています。「都会の学校に通っていた時は、先生から言われた事をただやる、といった授業でした。子供達はそんな授業に楽しさを持てずに使命として通っていました。そのような時、こちらの地域を知り引っ越して来ました。来て良かったです。子供はのびのびとして楽しそうに通っています。"日曜日も学校休まなくて良い"なんて言うほどです。」都会から引っ越して来た児童は何人もいて、ひとつのクラスほどの人数になっています。ここの学校の一番の特徴は、都会では必修科目になっている、「音楽・図工・体育・家庭科」ここの地域では選択科目になっています。この4科目から2科目を選んで授業を行います。とても良い評判をもらっています。各々の科目は先生による授業ではなく、都会からの専門家による授業になっていまして、ここの学校を卒業された児童で、何人もプロとして活躍されています。更に学びたい児童は、都会から来て下さっている専門家の紹介で、都会にある教室まで習いに出掛けます。都会からここに引っ越して来た児童の中には、都会へ習いに出掛けています。都会からここに帰ると決まって口にする言葉は、「都会は嫌だね。ここに来るまで住んでいた場所とは思いたくない。"どこを見ても人・人・人。車は多すぎて、あれは車社会だね。周りには竹のように背の高いビル立ち並んでいて、見ていても全然面白くなかった。道はみんなコンクリートで出来ているから、異次元みたい。僕は今まであの都会の中で暮らしていたという事、夢の中の出来事なんじゃないか?と思えて来るよ。都会に居た時には全く感じなかった感情だ。それに比べたらここは自然に恵まれていたり、周りの人達はまるで家族のように可愛がってくれる。他にもたくさん良い事の詰まった地域だ。都会から少し離れた場所に、こんな素晴らしい学校あるなんてみんなは知らないんだろうな。都会には緑も少なくて、そのせいなのかここと比べて暑いような気もする。昔に戻るべきだと思っている。自然を壊して、畑をつぶして、色々と作って来たけど、もうそろそろ良い。自然を壊し続けたら大変な事になる。きっと地球は怒るよ。」コウタの授業はたった今済み、この後の授業はこの学校の二つ目の特徴のある授業です。授業はここの児童だけではなくて、学びたいと思う地域の人達も参加出来る参加型授業になります。選択科目のうち音楽と図工そして家庭科は、地域の人達と一緒に授業を受けます。地域の人達の年齢制限は無くて、『学びは誰でも平等に!』という教育方針のもとで行われています。地域の人達にも児童達にも評判は良くて、教室はいつも満席になっています。いわゆる縦割り授業です。学校側は始めた頃、不安を伴ったまま始めました。でも、その様な心配事には及びません。それどころか大変な人気ぶりになり、先生達は喜びの悲鳴をあげています。縦割りにする事で世代を越えた同士のふれ合いの時間を過ごせて、得られる事はたくさん有ります。価値観を理解し合え、相手への思いやり、相手の世代を知る努力をする。同世代だけでは得られない体験を、授業を通して可能に出来るのです。分からない事あれば、教えてあげ教えてもらう。遥か昔に存在していた学校の風景です。今となりましては、こういった学校はなかなか出逢う事はないでしょう。ここの地域の特徴だと思います。コウタの選択科目は図工と音楽です。図工は好きな動物を絵に描く時に、少しでも上手く描きたくて。音楽はリスのポンチに聴かせてあげるのに音痴じゃ困るからね。その選択科目のうち今日の授業は、図工になっています。丁度、今日はポンチを連れて来ているのでポンチを描く事に昨日から決めていました。授業の前に休み時間を挟みました。コウタは教室を出ると、ポンチの居る部屋へ駆け出しました。「ポンチ!お待たせ。のどは乾いたかい?待っていてね。すぐ準備するから。」多分、ポンチには通じていないでしょう。まだここまでのリス語を習っていません。かごの小さい扉を開け、お水を注いであげています。「ポンチ!お水を飲んだら僕とアトリエ室へ出掛けるからね!」ポンチはコウタの話など分かるはずもなく、のどの乾きに潤いを満たすため、ひたすらお水を飲んでいます。アトリエへ出掛ける時間を知らせるベルを聞いたコウタは、かごのままポンチを連れてアトリエ室へ入りました。今日の授業は『自由に描く』先週の授業の時に先生から出された課題です。コウタはすぐに「ポンチを描こう。」と決まりました。授業は始まりコウタはリスのポンチをじっと見ています。なかなか描こうとはしません。観察力はすごく、少しの迷いも感じなくなるまでひたすらポンチを見ています。「う~ん!…、そうだな…ここは…」コウタはポンチを見ては何やら策を練り上げています。「いいぞ!決めた。さぁ、描き始めるとするかな。」描き出したコウタの手は止まらず、リズムカルに用紙の上を走らせています。何一つ迷いは無く、ただ手だけコウタの意志通りに働いてくれています。じっと観察していたコウタでしたけど、描き始めると止まるず一気に描きあげました。少し時間あるので、コウタはポンチと何かおしゃべりを始めました。周りのみんなはまだ描いています。今までに学んだリス語の復習も兼ねてポンチと会話、楽しそうです。「ポンチこの後はポンチの言葉を学ぶ授業なんだ。また、僕と教室に一緒に居られるからね!今日はどんな言葉を教えてくれるのだろう。楽しみだよ。少しずつポンチと話せる言葉、増えて来ている。ポンチも人間の生活を聞いたりして面白い?」「うん!僕達リスの世界には無い事だからなぁ。知らない事を知るのは楽しいなぁ。それだけ、物知りになるからなぁ。」ベルは鳴り始めると、教室へ戻る準備。コウタはすでに済んでいるので、アトリエ室を一番に出て教室へ向かいました。教室にはまだ誰も来ていないので、コウタとポンチだけです。「僕の教室は小動物の言葉を学ぶ部屋になっているので、このままここに居られるんだ。しかも自分の座席に座れるなんてラッキーだ。何の言葉を知りたいか、ノートへ書いておこう。忘れないように。幾つぐらいになるだろう。あまり沢山だと先生に叱られちゃう。教える相手は僕だけじゃないんだから。まずは、優先順位を決めれば良いんだ。」この頃になると、教室に人集まりだしました。そろそろ小動物語の授業始まります。あちらこちらの座席から、様々な小動物の鳴き声の合唱。動物を好きではない人達にとっては、ただ「うるさい。」としか聞こえないでしょうけど、ここの児童達は違っています。当然です小動物好きの児童達ですから。自分の小動物とは別の小動物であっても、全く知らない鳴き声を聞いても、「うるさい!」と感じる児童は誰一人としていません。「僕のこのクラスは、授業を行うにあたりグループ分けをするんだ。今日はこのクラスは全部で25人の児童。授業の形は決まっていなくて、その日に連れて来た子によって決まるんだよ。『⚪⚪⚪の動物は……クラス』動物ごとに教室は決められているから、それに従って教室へ出掛けるんだ。ポンチの他に仲間はあと三匹いるから、少し嬉しい。この前の授業では僕ひとりだったから。でも、そのかわり沢山新しいリス語を学べちゃった。質問もさせてもらえたのには驚きだった。いつもは質問時間なんて無いから。滅多に無い経験だろうと思って、沢山の質問を出来て嬉しかった。そのお陰で一気にポンチとのおしゃべりを、楽しめるようになっちゃった。今日も僕達三人だから、質問やれるかもしれないな。今日は何を質問やろうか?さっきノートに書いた優先順位を見直そう。」見直しをやっている最中に授業は始まりました。「全体授業では無くてグループ分けの授業になるので、先生はグループごとに椅子を置いて座り、僕達に教えてくれる。今日の授業をする先生は三人来ているよ。グループ分けで6つのグループ出来たので、1人の先生で二つのグループを担当するみたいだ。先生達はほとんどの小動物語を知っているから、前もって連れて来る小動物の事を教えなくても大丈夫なんだよね。すごい、本当にすごい。都会では英語を小学生から教わるけど、この学校は動物語を習う。都会の先生達で出来る先生はいないだろう。僕達の学校の先生はすごい。特別授業も時々あって、その日には偉い博士による授業を受けられるんだ。博士は朝から1日中、動物語の研究をやっていと、テレビの動物関係の番組に出ている人なんだ。そんな有名な人から学べるんだ。この学校は偉い博士を呼んでしまうなんて、都会から離れたただの学校では無いような。選択科目の音楽・図工・家庭科・体育も、専門家による授業になっている。何か秘密ありそうだ。お友達と一緒に調べて見ようかな?面白い秘密を見つけられるかもしれない。」しばらくすると、コウタの質問の時間になっていました。時間はあまり無い、との事で1つだと言われたので、選ばなければいけない。なかなか選べられなく数分後にやっと決める事出来ました。「僕のポンチは男の子です。何歳だか分かりません。『何歳なの、ガールフレンドは欲しい?』を聞いてみたいので、リス語で聞くにはどう言えば良いのか教えて下さい。」「分かったわ。少し長くなるからノートに書くと良いです。準備は大丈夫ですか?」「はい、先生。準備出来ました。お願いします。」「始めます。⚪◻◇⚪☆*◻◇なります。書けましたか?もう1度、⚪◻◇⚪☆*◻◇大丈夫かしら?」「はい。大丈夫です。間違えずに書けました。先生、有り難うございます。」今日の小動物語の授業はここまでです。コウタの将来の夢。もちろん動物関係の仕事をする事。そして、特別授業に来てくれている動物博士のように博士になりたい、なれるかなれないか僕にも分からない。でも、何かに向かって一生懸命やる自分を好きだから。目標や夢に向かって日々を暮らしている人達はとても輝いて眩しい。僕も輝いて眩しく映る人間になりたいと思う。いつでも目標や夢を持っていよう。僕は今、動物博士になるという夢に向かって、ただ走り出せば良いのだ。さぁ、走り出すぞ、僕の夢に向かって。けして止まる事のない、夢への未知に出発だ!僕は今、走り出す。

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