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冬の俺日記

お散歩に出掛けてみたものの、寒くて落ち着かない。適当に入ったセブンイレブンで手袋をはめたら、先日買おうか迷っていたノースフェイスのBEAMS発注の手袋と変わんなくない?ってくらいしっくり来たので購入した。これで1500円。ありがたすぎる。
レジのお兄さんに「今使いたいから、タグ切ってもらっていいですか」とお願いしたところ、プラスチックのロックスを目の前で引きちぎろうとしており、いくら安い商品だからってそんな殺生な、と思ってギョッとしていたら、やはり切れなかったようで、渋々ハサミで切っていた。引きちぎるのは、自分で買った商品の時だけにしてクレメンス。購入者からのささやかなお願いだよ。

そのお兄さんは、今時珍しいタイプの金髪で、高円寺でロックバンドとかやっていそうな風貌だった。なんかこう、期待を裏切らない行為って嬉しくなる。プラスチックのロックスを引きちぎるのはハッキリ言ってやめて欲しいと思ったけど、その乱暴でガサツな感じというか、すごくお兄さんらしくて良かった。似合っている。反骨精神があってかなり良い。客の買った商品のタグを引きちぎるというのは、普段やってないと出来ない行為だ。普段ハサミで切ってるヤツは、客のロックスも当然ハサミで切る。目の前で堂々と引きちぎろうとしている姿がなんだかすごく印象深くて、店を出てから笑ってしまった。
人となりって、やっぱどうやったって当たり前に表面に出るの、面白いなと思った。

手袋をはめたら、さっきまでの寒さが嘘みたいに全身が暖かくなるのを感じた。それだけなのに、なぜかすごくすごく嬉しくなって、一駅分くらい走った。暖かいって正義だ。それだけで嬉しくなる。あったかいと幸せな気持ちになる。手袋ってすごい。


帰りに、ずっと気になってたお店を覗いたら、明かりがついていた。何回来てもクローズの看板が出ていて入れなかったけど、今日はやってるのかも!と思って扉を開けてたら、
ネパール人の女性が5、6人話になって女子会をしており、「あ、入ります?ドゾー」と言って、窓際の隅の席を指さされた。

案内されたままに座ってみたら、なぜかその席だけ椅子の幅が20センチくらいしかなくて、空気椅子みたいな姿勢で座ることになった。どんな設計をしたらこんな地獄みたいな椅子が出来上がるんだと思ったけど、せっかく入れたので仕方ない。他の席は女子会で埋まっているし、我慢することにした。

私は異国の知らない料理が好きだから、ちょくちょく調べてはいろんなお店を巡っているんだけど、以前より気になっていた(看板に出ていた)スープモモを注文した。
ネパリタイムが炸裂しており、30分くらい空気椅子の席でガタガタプルプル震えながら料理を待つこととなった。窓際の席は隙間風が寒い。室内なのに、先ほど買った手袋をつけている。

暇だからメニューをパラパラめくって見ていたら、知らない料理がけっこうあり、国によって部族によっても、料理の種類も結構違うんだろうなと思った。出てきた料理は、あったかくてスパイシーですごく美味しくて、明日また来て食べたいとすら思った。トマトベースのスープの中に、パクチーと粒コショウがクリーミーになって混ざっている。
のんびり食べていたら「オイシー?」と聞かれたので「デレ ミトチャ!」と答えた。とても美味しいという意味だ。店員さんは目を丸くして驚いていて、ネパール語話せるの?!みたいなことを聞かれたけど、コレしか喋れない。私は世界中の言葉で「美味しい」だけ覚えるようにしているのだ。美味しいものが好きだから。

ネパリの、どこの地方の料理なのか、何族の料理なのかと聞きたくて、店員さんに尋ねたけど、日本語が全然通じなかった。英語でトライして見たけど、オッケーオッケー、美味しかった?!ありがとうね!みたいな感じで全然全く通じず、わからずじまいだった。なのに、店員さんは「マタキテネー!」「アリガトーゴザイマース!」とすごい笑顔でニコニコしており、何族の料理でもいいなと思った。

料理が美味いは事実上のアイラブユーみたいなもので、言葉にして伝えないともったいない気がする。
「美味しかったです、ありがとう」と伝えるのは、ちょっと恥ずかしいけど、必ず笑ってくれるので嬉しくなる。出来るだけたくさん伝えたほうがいい。美味しいも正義だ。それだけで嬉しくなるなら毎回伝えたほうがいい。

今日は、散歩して外でご飯食べただけだけど、なんだか一日中楽しかった。冬の俺日記、特にオチもヤマもないけれど、なんだかポカポカしていて、とっても良い一日だった。年末年始の休みまであと1週間。風邪引かないように過ごしたい。

このお金で一緒に焼肉行こ〜