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3行小説まとめ⑳

第951回「あなたの笑顔があったから」

うれしいことがあった時、あなたの笑顔を思い浮かべる。
シンドいなぁ…とため息する時、あなたの腕の中を思い出す。
いつまでたっても私は、あなたの存在に支えられているんだなぁ。


第952回「あなたのとなり」

ずっと憧れていた。そこには、幸せが満ち溢れていたから。
あなたの隣にいるあの人は、いつも穏やかに笑っていたから。
けれど、その場所を奪い取った私に、幸せが訪れることはなかった。


第953回「誰も教えてくれないこと」

「もっと甘えればいいのに」と言うけれど、甘え方がわからない。
頑張るのは普通のことで、我慢するのもあたり前。そうじゃないの?
可愛げなんて誰も教えてくれなかったのに、あなたも背を向けるんだね。


第954回「いつか、あなたが」

遠くへ行ってしまうあなたへ。寂しいなんて言わないよ。
だって、あなたが望んだ道だもの。行かないでなんて言えないよ。
でも待っていてもいいかな。いつか、あなたが帰ってくる日まで。


第955回「絶対にほしいもの」

ほしいものは「ほしい!」と言わなければ、手に入らないと知った。
いい子でいたっていいことなんてないと、ようやく気づいた。
もう遠慮はしない。いざ、勝負! 残り1つのケーキの行方やいかに!?


第956回「夕陽を見ていた」

ゆっくりと沈んでいく夕陽を、あなたと一緒に見ていた。
言葉も交わさず、視線も合わせず、ただしっかりと手を握って。
ねぇ、あなたの手が冷たいのは、この寒さのせい…だけなのかな?


第957回「そうだけど、そうじゃない」

「キミは甘いものがあればゴキゲンでしょ?」とあなたが言う。
そうだけど、そうなんだけど…そうじゃないんだよ。
あなたが一緒だから。それがいちばん大事なこと、なんだからね!


第958回「僕のとなりは空席」

お天気のいい日は、気分も上がる。自然と笑顔もこぼれてくる。
「気持ちいいね」と言いかけて、あぁ、ひとりだったと苦笑い。
ずいぶん長い時間が経ったのに、空いたままの隣に慣れないでいる。


第959回「キミは知らなくていい」

本当のことは言わないまま、キミの後ろ姿を見送った。
飲み込んだ言葉をキミは知らなくていい。誰も知らなくていい。
僕の中には確かにある。消えることのないキミへの想いが。


第960回「落ち着いてる場合じゃないよね?」

ゆっくりとあたたかいお茶を飲む。心を落ち着けるのはこれが一番。
ふぅーっと少し長めに息を吐き出して、冷静に…と自分に言い聞かせる。
告げられた言葉を思い出す。え? いや、まさか。そんなはず…!


第961回「雨の午後のこと」

細かな雨が静かに降り続く午後、何もすることがない。
ただぼんやりと、頼りなげな雨の音を聞いているだけだ。
あのとき、他に何ができただろう。答えのない問いかけを繰り返しながら。


第962回「サンタを待つ夜」

雪の降らない国に生まれた私は、ホワイトクリスマスを夢に見る。
純白に染まった世界に舞い降りる真っ赤な幸せの使者を
煙突のない家で今年も待っている。大きな靴下に願いを込めて。


第963回「雪降る街にひとり」

昨日から降り続いた雪は、街の音をすべて吸い取っていく。
シーンと静まり返った街でひとり、まだ降り止まない雪を見ていた。
あなたの言葉も、この深い雪に消えてしまえばよかったのに。


第964回「キミが微笑む夢を見た」

僕を見上げてキミが微笑む。穏やかに、とても幸せそうに。
それは、奇跡のようなものだと、今さら気づいても遅いのに。
後悔の中で嘆く男を見下ろして、誰かがにやりと笑った。


第965回「アップデート」

もうすぐ終わる。それは、予感ではなく、目の前にある事実。
すべてが変わっていく。どうしようもなく、なす術もなく。
新しい私を受け入れられない私は、どこへ向かう? 誰と歩む?


第966回「ニセモノ」

見えていた世界はニセモノだったと、気づいてしまった。
やさしい言葉も、甘い視線も、さりげない仕草も、全部、全部。
嘘に囲まれて笑っていたと、ピエロは知らなくて良かったのに。


第967回「ムカつくあなた」

困り顔で「仕方ないなぁ」って言う。その大人ぶった態度がムカつく。
いつだって私のわがままを笑って許す。その余裕もやっぱりムカつく。
そっぽを向いたキミは知らない。いつだって僕がドギマギしていることを。


第968回「彼女の隣で」

静かに泣き続ける彼女を、彼は隣で心配そうに見つめている。
俯いたままの彼女には見えていないのだろう、その表情が。
いや、彼女には見えないのだ。すぐ隣にいる彼の姿が…。


第969回「眠れない夜が明けて」

眠れないまま夜が明けて、朝日の眩しさに目を細めた。
また1日が始まる。昨日が終わらないまま、今日が始まる。
こんな日々がいつまで続くのだろう。 あぁ、今日もまた眠れない。


第970回「あなたがわたしにくれたもの」

ミルクをたっぷり入れたカフェオレを、そっとキミに差し出す。
ほら、もうゴキゲンを直してよ。お気に入りのザッハトルテもあるからさ。
あなたの甘さも優しさも、上辺だけだって私はもう知っている。


第971回「青空の下の未来」

空は晴れていた。どこまでも青く、雲ひとつなく、晴れ渡っていた。
街は朽ちていた。かつての姿のまま古ぼけて、くすんで、佇んでいた。
機械だけが動いている。アンバランスな世界で止まることなく規則正しく。


第972回「甘い言葉は嘘の味」

いつだってあなたは、甘い言葉を私にくれる。眩しい笑顔と一緒に。
でも、その言葉の中に、あなたの気持ちはヒトカケラもこもっていない。
全部が冗談。すべてはまやかし。そして今日も、甘い言葉が私を蝕む。


第973回「キミの青空」

「気持ちいい晴れ空なら、すべて問題なし!」ってキミが言う。
雨が大嫌いで、青空が大好きで、太陽みたいな笑顔を振りまくキミ。
今の僕にはまぶしすぎるよ。たとえ、想い出の中のキミでも。


第974回「時代遅れの私のことを」

懐かしいメロディが流れてきて、やさしい風景がふと浮かんだ。
大好きな人たちと心から笑い合っていた頃。楽しかった時間のすべて。
今の私が失くしてしまったものたちはぼやけて、すぐに消えていった。


第975回「Midnight~まよなか」

灯りがひとつ、またひとつと消え、やがて静寂の時間が訪れる。
真夜中の街に小さな影がポツンと、どこにも行けずに佇んでいた。
泣いているの? 誰かが問いかけるけれど、そこにはもう何もない。


第976回「誰もいない」

誰もいない公園に、ブランコを漕ぐ音が小さく響く。
少し錆びついているのか、ギィギィとぎこちない音色を奏でた。
「一緒に遊ぼうよ」真夜中の公園でブランコだけが揺れている。


第977回「サヨナラは私から」

いつもより少し声が低い。いつもより少し瞳が暗い。
些細な違和感。でも、あなたの心を知るにはそれで十分だった。
だから、サヨナラは私から。あなたがこれ以上、変わってしまう前に。


第978回「笑顔でいれば」

むかし誰かが言っていた。「笑顔の人に幸せはやってくる」って。
だから笑っていた。ツライときも、悲しいときも、寂しいときも。
いつまで待てばいいのかな。いつまで笑えばいいのかな。


第979回「悪役は背を向けた」

「どうして?」ってキミは泣いた。そのひと粒のためだよと心で思う。
キミを突き放して、傷つけて、去っていくのが悪者になった僕の役目。
その涙を拭うヒーローはもう他にいる。わかっていたんだ、全部。


第980回「春の足音」

「聞こえるでしょ?」とあなたはうれしそうに笑う。
残念ながら私には聞こえてこない。春の足音なんてまだまだ。
あなたにはもう見えているのかな。穏やかな春の女神の微笑みが。


第981回「あなたにはもう」

心配そうなあなたの視線には気づかないふりをした。
今日の私が傷ついていても、明日の私が泣いていたとしても、
あなたには関係のないこと。あなたはもう知らなくていいこと。


第982回「彼女はすべてが消えた世界で微笑んだ」

賑やかな街から音が消えていた。不思議に思って周囲を見回すと、
誰もいない。人が消え、灯りも消え、街には私ひとりだけ。
不安も恐怖もなく、私はあなたのいない世界にホッとしていた。


第983回「いつもと違う」

あなたのやさしい顔、初めて見た。そんな風に笑うんだね。
いつも不機嫌で、無口で、そんなあなたしか私は知らないのに。
目尻を下げただらしない顔…そんなに孫が可愛いか!


第984回「エンドロール」

ゆっくりと幕が降りていくように、その人は静かに瞳を閉じた。
耳元に「ありがとう」と告げれば、小さく微笑んだような気がした。
「向こうで懐かしい人に会えるね」「あぁ、迎えに来てくれたよ」


第985回「眠れぬ夜は」

眠れずにいた彼女に、彼はそっとホットミルクを差し出す。
何も聞かず、何も言わず、ただ黙って彼女に寄り添った。
その涙が枯れるまで、その瞳に光が戻るまで、僕はキミの隣にいるよ。


第986回「終わらない冬」

寒いけれど、冬だからあたり前。春が来ればツライ日々も薄れていく。
悲しいけれど、別れだもの仕方がない。いつか時間が忘れさせてくれる。
でも、どうしてかな。いつまでも季節は冬のままで、私は悲しいままだ。


第987回「どうしてキミはここにいなんだろう」

キミの好きな花を僕は知らない。あんなに長くそばにいたのに。
キミの得意な料理を僕は知らない。いつも僕のために作ってくれていたのに。
だから今、キミがここにいない理由が、僕にはわからないんだ。


第988回「懐かしい光景」

ゆるやかな坂道を登っていくと、見えてきたのは小さな教会。
今にも崩れ落ちそうで、そこだけ時代に忘れられたようでした。
この光景を懐かしいと思っているのは、私の中の誰なんだろう?


第989回「桜の下で笑うキミに」

泣き虫だったキミが笑っている。みんなを励ますように。
内気だったキミが先頭を歩いていく。迷いのない足取りで。
あぁ、キミは強くなったんだね。ならば、新たな試練が必要だね?


第990回「いつかあなたと」

いつか再会したら、にっこり笑って「お久しぶりね」と言うはずだった。
隣にはあなたより素敵な人がいて「幸せそうだね」と言わせるはずだった。
でも、現実は甘くない。幸せそうなのはあなたの方だった。


第991回「小さな僕の小さな冒険」

自由に憧れていた。誰にも、何にも縛られない自分になりたいと。
望み通り、僕は世界に放り出された。誰も、何も僕を守ってくれない。
怖かった。けれど、震える足を叱咤して前に進む。自由を噛みしめながら。


第992回「キミがいるから世界は色づく」

長い間、ずっと不思議に思っていることがあった。
どうして僕の世界には色がないんだろう。光がないんだろう。
今やっとわかったよ。そうか、キミがいなかったからなんだね。


第993回「寝顔」

うたた寝をするキミの横顔は、いつもより少しあどけなくて
思わず笑みがこぼれた。「こんな顔、今まで見せてくれなかったね」
強がりというキミの仮面を、このまま隠してしまいたいな。


第994回「キミが望むもの」

キミがほしいものは何? どんなモノだって僕が手に入れてみせるよ。
キミが願うことはすべて、僕が叶えてあげる。何に代えても。
だから、キミが望むのなら、今すぐ僕という存在を消してしまおう。


第995回「もう少しだけこのままで」

伝えたいことはたくさんある。でも、言葉にならない。
「サヨナラ」じゃそっけなくて。「ありがとう」じゃ足りなくて。
だからもう少しだけ、あなたに贈る言葉が見つかるまで、もう少しだけ。


第996回「メッセージ」

メッセージの着信音が鳴って、ふとスマホを覗き込む。
表示された懐かしい名前に、驚きと喜びがこみ上げた後で
戸惑いがやってくる。あなたはもう、どこにもいないのに?


第997回「ショートショートアドベンチャー」

いつもと違う電車に乗り、名前も知らない駅で降りる。
ちょっとした冒険気分。日常からのつかの間の逃避行。
明日になればすべて元通り。平凡な私に逆戻り。


第998回「この雪がすべてを隠してくれるまで」

雪は降り止むことなく、街を白一色に染めていく。
華やかな色を奪い、にぎやかな音を奪い、白一色に閉ざしていく。
雪はまだ降り続く。すべてを覆い隠すまで。私の想いも、あなたの心も。


第999回「あなたの余韻」

どうして私は、いつまでたってもあなたのことが好きなんだろう。
もうきっと、あなたは私のことなんて忘れている。なのに、
私だけが今も、いつまでも、あなたの余韻を消せないままでいる。


第1000回「茜空のふたり」

ゆっくりと今日が暮れてゆく。空を茜のグラデーションに染めて。
あなたは何か言いかけて、やめて。私はその言葉をじっと待っていた。
終わっていく今日を見送りながら、 私たちはそっと手を繋いだ。

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