呼び名

世間体など気にせずその呼び名を全うする

「お父さん」「お母さん」と
「お兄ちゃん」「おばあちゃん」と そう呼ぶことの何が悪い?
そういう時があっても良いではないか?

「父が」「母が」などと
「兄は」「祖母は」などと さも当然のように言えて何が誇らしい?
いついかなる時であってもそう呼ばなければならない皆を私は哀れむ

今より過去「じいじ」と「ばあば」が乗った車が角を曲がるまで手を振った
人目を気にしいつしか振れなくなったその手を
再び振れるようになったのはとどのつまり死を意識したからで――

世間体ばかり気にしていては後悔ばかりが募ってしまう
先に立ってはくれない後悔の海を一体誰が泳ぎたい?
今にも無くなるかもしれない今しもを後悔以外の何で満たそう

・・・「お父さん」「お母さん」「お兄ちゃん」「おばあちゃん」「じいじ」「ばあば」

これまでずっとそう呼んできた
これからもずっとそう呼び続けよう
私が死ぬまで私にとってはその呼び名が全てなのだから

(2023.10.13)

読んでくださる方にとって、いいと思える「詩」が一編でもありますように。