無題5

#KDP 販売促進3

逐一噛み締める痛みの色のない事を どう説明しよう
有り余る時間をもってしても いよいよ明らかになるのは どうしてもこれ一つきりだけど
滞りなくそれを使い切った時にだけは例外で
そもそも明かす事なんて何にも有りはしないって事を説明しなければならなくなる
だから いろいろと履き違えただけの誰かの靴の大きさに訝しがるのは
別段 不可思議を感じる事もない筈で・・・
でも 確かに何か履き違えている様な気がして来ても
正しく 気になどしないでも宜しいではないか!
すごすご尻込みして弱気になどなるな! とか何とか大口を叩いてよいのは 大方
身分制度なんて気にも掛けていない賢人だけか
これまた 何か履き違えているかも知らんと足下を見てみるに中って
気を付けなければならない事が一つある
「汝、自らを知れ!!!!!!!!!!」
そう強く押しつけるみたいな言い方をしないでもよいではないか? ところが
足下で危うくと言うより結局踏み付けられて死んじまう蟻んこの 決まり切った運命に
この「汝」と言われた某が干渉しようだなんて あのとても高すぎる天井から罰が下ると
すごく嫌な気分になって どん底まで気持ちが落ちて
「汝、自らを知れ」なくなると困るから
だったら 大口を叩けるであろうあの賢人にでもなるとしよう

それからそれから まずは 聖書片手にえっちらおっちらその道を歩いて 途中 休んだ切り株に
大事な大切な宝物の聖書を置いて来てしまったと知って
自分で聖書なるものを書いてゆこうと 心に決めたのはよいけれど
そんな 日記付けの様に書き始めてしまったものなんて
羞恥の有様と何ら変わりのないものと酷似していて困るし
聖書を手に手に携えている老若男女にも 何だか悪い気がするから ――書きゃしない
でも その代りと言っちゃあなんだけど 日記付けでも始めてみるとしよう

――月――日
きょうは、せいしょをなくしました。
なんで、せいしょじぶんでかいてみようかしらと
わたくしなやんでなやんでなやみぬいたあげく
せいしょもつまえにもどろうと、かくのはあきらめました。
ところが、いまげんざい、わたくしがかいておりますのはにっきでございます。
そういえばと、おもいだしたことがあるんです。
せいしょもつまえ、わたくし、そういうものにすがったおぼえはなかったのです。
もってるひとたちにわるいきがするので、もうなんにもいわないことにします。
そうです。わたくし、なにもいわないかわりにひとつここにかきとめましょう。
せいしょにはわたくしをすくってくれることは、なにひとつかいちゃいませんでした。
わたくしは、そういうせいしょをもっておったのであります。
(「The Bible」)

全18編


読んでくださる方にとって、いいと思える「詩」が一編でもありますように。