他に愛すべきものがあるとするならば それは何だろうか
愛し方
他に愛すべきものがあるとするならば それは何だろうか
きみを愛したのは確かで 今でもそうである筈なのに
どうして きみは「愛されていない」と言うのだろう
ただ きみだけを見て きみの声だけを聴いて…
そうやって ぼくは世界との調和を保っていたんだ
どのくらいかは解んないけど いつまでも 永いこと
それだけを 約束事のように守り続けていた
心のどこかで ずっと 考えていた事があるんだ
たぶん それを誰かに話したら 笑われちゃうだろうな
だって 自分でも可笑しくって 笑っちゃうんだ
こどもの頃から考えていたよ 今でもたまに考えるよ
どうして人は死んじゃうんだろうって 本当さ
嘘じゃない そう 本当の事なんだ だから ぼくは
きみの事 愛そうと思ったよ いつまでも 永遠に
世界がきみとぼくをめぐり合わせた そういう話を
信じるために 今 ぼくは きみとここに居る
きみの横顔を見つめて 涙をながす ねぇ かなしいよ
くるしいよ 切ないよ 考えたくなんかないのに
きみが いつか 死んでしまう事を考えちゃうんだ
ずっと 愛していたいのに それは無理かもしれないって
心のどこかで不安になるから ぼくは そんな時
きみを抱きしめる どこにも行ってしまわない様に
一人にしないでって 無理なお願いをするんだ そしたら
きみは続けてこう言う 「じゃあ、私のことを愛して」
ぼくが きみ以外を愛した事などあっただろうか
ぼくが きみ以外を求めた事などあっただろうか
取り繕った愛し方なんかじゃ 涙はながせない
かなしみに 打ちひしがれる事もないだろう
胸が締め付けられるような くるしみと
それを 誰にも解ってもらえない 切ない気持ち
本当の愛し方を自分で見つけなきゃ
その気持ちは知れないし きっと それからもない
もしかしたら 世界はきみとぼくを引き離していたかも・・・
きみを愛したのは確かで 今でもそうである筈なのに
どうして ぼくはきみから目を逸らし 耳を覆ったのか
世界は当然ぼくを置き去りにし きみを遠くへと引き離す
きみ以外を愛せる訳なんかないのに ぼくはこれから
きみ以外すべてのものを 愛さなければならなくなった
もしかしたら それは無理かもしれないって
あの時みたいに 心のどこかで不安になったんだ
だから きみにお願いするように 一人にしないでって
あの落ちてきた光に願った その時 ぼくは初めて
「ほし」ってものを 本当に愛した気がするよ
他に愛すべきものがあるとするならば それは何だろうか
取り繕った愛し方なんかじゃ なみだを流せないから
きみの横顔を見つめても きっと なみだは流れないんだ
もし ぼくがすべてのものを愛せた時 もしかしたら
きみは言ってくれるかもしれない 「私も愛している」と
世界がきみとぼくをめぐり合わせた そういう話を
信じるために 今 ぼくは きみとここに居る 永遠に
(2008.5)
読んでくださる方にとって、いいと思える「詩」が一編でもありますように。