#KDP 販売促進6
まだまだ苦悩は書き足りない
それなのに俺は今にも死にたいと思う
今死ぬのも命が尽きるのを待って死ぬのも同じことだと思う
なぜ俺は〝人が死ぬ世〟に生まれて来たのか
なぜ身近な人の死といつか向き合わねばならないのか
十年以内に俺ではない誰かが死に
その又十年以内にまた俺ではない誰かが死ぬ
俺が死ぬまでの間に大勢が死んでゆく
そしてその大勢は皆俺の知った者たちだ
俺の誕生を喜んでくれ成長を支えてくれた者たちだ
その者たちがいつか俺の死を見届けないうちに死んでゆく
今生きているのにいつか死ぬ
呼吸し思考し機能する臓器と共に生きている今
そんな〝今〟を差し置いて皆が〝いつか〟死ぬ
今日今これを書いている明日や明後日にはきっと死なないのに
いつかの〝明日〟や〝明後日〟には死んでいる
その明日と明後日の〝前日〟が永遠に続くことがない代わりに
いつかの〝明日〟と〝明後日〟とが必ずやって来る
いつか俺が身近な人の訃報を耳にしその遺体を目にしても
そのいつかの前日といつかとで俺が今の俺のままだったとしたらと思うと恐くなる
その人の死を恐れているのと同時にそんな恐れも抱かずにはいられない
だがその一方でその人の死で俺に何かしら変化が起きることもまた恐怖でしかない
まだその人が生きている〝今〟に感謝している
またその人が生きている〝今〟に感謝している
結局俺はこうあればいいと思う
十年後も身近な人は皆いつまでも生き
呼吸したまま思考したまま機能する臓器と共に生きたままであればいいと
とにかくもう〝人が死ぬ世〟で生きるのはご免だ
毎晩眠れずにこんなことを考えて苦しい思いをするのはもう嫌だ
だから今死なせてくれ
俺の知った身近な人たちが皆死んでしまうのを俺は耳にも目にもしたくない
だから死なせてくれ今
そんな〝今〟を結局〝いつか〟が差し置くだろういつか
そんな〝いつか〟でもいいから俺は何も知らずに死んでしまいたいと思う
(「人世哀歌」)
全39編
読んでくださる方にとって、いいと思える「詩」が一編でもありますように。