「分からない」
一緒に年をとっていくはずだったその人がもういない
自死を選んだという話だ 私の選べなかった死をその人は――
その人にも好きな人がいたはずだ
その人のことを好きでいてくれる人たちが間違いなくいたはずだ
なのに だのに なぜ――?
僕には分からない 僕には分からないことばかりだ
その人の死ひとつとってみても
その人の死以外に思いを馳せてみても
人の死そのものにこうして考えを巡らせてみても
結局 僕は どの死も「分からない」で済ませてしまっている
それからしばらくして「その人のことを好きでいてくれる人たち」も亡くなって
僕には もう 何が何だか本当に「分からない」のだ
(2020.10.18)
読んでくださる方にとって、いいと思える「詩」が一編でもありますように。