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良い買い物をした話

多かれ少なかれ、買い物はギャンブルだ。お値段以上のリターンを得られることもあれば、あの「買う前の商品がやたら魅力的に見える現象」に惑わされて損をすることもある。すぐに役に立つ買い物もあれば、時間が経ってからリターンを実感する買い物もある。大きな買い物ならば、その振れ幅はなおさら大きい。

といいつつ、私はそこまで大きな買い物をしたことはない。「大きな買い物」の一般的な基準は 10 万円だという記事をどこかで見たが、3 万円以上すれば十分大きいと思っている。一度の出費が 1 万円を超えるたびにびびりまくっている、小心者の学生である。


そんな自分にとって、今までで良かった買い物はなんだろう。そう考えると、それは「コンタクトレンズ」かもしれないと思い当たった。



私はちょっと変な目を持っている。左目が強めの乱視と遠視。右目にも矯正が必要な程度の乱視と近視が入っている。老眼が始まったら四冠達成だなあという冗談はさておき、目が悪いかと問われればまあ悪いのだろう。

小学校低学年のときからそんな感じだったので、眼科に行けば矯正を勧められていた。両目の度数差が大きいのでメガネでの矯正が難しい、できればコンタクトにした方が良い、という説明を 3 回は聞いた気がする。


しかし、コンタクトを入れることへの恐怖感は強かった。また、本も授業中の板書も裸眼で読めてしまっていたせいもあるだろう、結果的に 20 年間、目の矯正をせずに過ごした。運転免許を取るために大学入学のタイミングでメガネを作ったくらいで、それも日常生活ではほぼ使わなかった。



転機は大学 3 年の夏休み。パソコン作業をする機会が多くなり、目の疲れを感じることが増えていた。免許を取り終えてからメガネをかける機会もなくなっていたが、そろそろまた、自分の目と向き合わないといけないような気がした。

私は近所の眼科の予約をした。コンタクトを入れなくても済むかもしれないという淡い期待から、「メガネ処方」として。

10 年ぶりの眼科で言われた言葉は「コンタクトにした方が良いです」だった。うん知ってる。コンタクトへの恐怖心は変わらずあるが、もう仕方ない。私は日を改めてコンタクトの処方を受けた。



そんなわけで嫌々購入したコンタクトレンズだが、すぐにメリットを実感することとなった。
パソコンの字が読みやすい。顔の筋肉が凝らない。頭も軽くなった気がする。「私ってこんなに元気だったんだ」と思った。元から健康体だったはずなのに。

たまに裸眼で外に出てみるとびっくりする。デジタル数字は全部 8 に見えるし、車のライトは 3 つくらいに分身して見える。上目遣いで覗き込むようにしないとパソコンの文字が読めない。慣れ過ぎて気づかなかったが、こんなに見えづらくて疲れる世界で 20 年間生きていたのか。



コンタクトレンズを使い始めて 1 年が経った。今までに払った診療費やレンズ代、ケア用品代を合わせればかなり大きな額になっているはずだ。

それでも私は、人生が変わるレベルで良い買い物をしたと胸を張って言うだろう。こんなに軽い身体と冴えた頭が手に入ったのだから。

(※ あくまで私個人の感想です。目には個人差があるので、まずは眼科に相談を!)

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